ライセンスビジネス

 ラコステの靴下を新調した。と言っても随分前に購入したもの。
 パッケージの札を見ると(最近商品のラベルやパッケージがやたらと気になる。)、「この商品は、フランスラコステ社と技術提携して日本で製造されたものです。」とある。
 そして、製造・発売元は、株式会社大沢商会。
 ん?大沢商会?しかし、大沢商会のHPを見てもラコステ社と技術提携をしているらしきページに行き当たらない。
 そもそもあれ?と思ったのは、6/16の読売新聞の朝刊が頭にあったからだ。
 何でも、伊藤忠商事三井物産などの総合商社が海外有名ブランドの生産・販売権の獲得を競っているとの記事が掲載されていた。日本での独占販売権などのライセンス取得に加え、消費者のブランド志向が高まっているアジア市場での有力ブランドの製造・販売権を早めに確保するという狙いがあるという。
 最もブランド事業に積極的なのは伊藤忠商事と記事は報じていたが、大手商社4社のブランド事業戦略と題した獲得ブランドの一覧を見る限り、各社人気ブランドの獲得に凌ぎを削っている様子が十分に覗えた。
 伊藤忠商事ポールスミス(英)、レノマ・パリス(仏)、レスポートサック(米)
 三井物産マリ・クレール(仏)、ハナエモリ(中国進出)
 丸紅…オシュコシュ(米)、ラコステ(仏)、ビルブラス(米)
 住友商事…フェイラー(独)
 そう、ラコステについては、現在、丸紅がライセンスを有していることをこの記事で目にしていたのだ。
 ライセンスビジネスとは、日本語で表現すると「商品化権許諾業」。
 商社が展開するブランド事業は、①輸入販売権や製造・販売権(ライセンス)の獲得、②商標権の買収、③ブランド本体の買収などがあり、最近は、契約期間に縛られずに製造・販売を継続できる商標権を買収する商社が増えているそうだ。その背景には、従来の仲介ビジネスが縮小にある中で、ブランド事業を強化して、安定的な手数料を確保していきたいという思惑があるという。
 Unizouの靴下の謎が解けたので最後に紹介しよう。 
 丸紅、「ラコステ」獲得(2003年5月3日(土))
 ラコステの衣料品の日本での独占製造・販売権を持つファブリカの株式33.4%相当を西武から獲得。今後、主要株主としてラコステ商品の供給などを全面的に支援する。これまでは、ファブリカの発行済み株式は西武と、ラコステ社との契約により全世界での「ラコステ」ブランド衣料品の企画・生産・販売を管理運営し、ラコステ社に35%を出資しているフランスDevanlay S.A.(本社:パリ、ドゥヴァンレイ)がそれぞれ50%を保有していた。今回西武が全株式の33.4%相当を丸紅に、16.6%相当をドゥヴァンレイに譲渡した。これによりファブリカの株主構成は、ドゥヴァンレイ66.6%、丸紅33.4%となった。
 フランスのテニスプレーヤー、ルネ・ラコステによって生まれた「ラコステ」は70年以上の歴史を持ち2002年度の全世界売上高は卸売ベースで約1,200億円(うち衣料品約860億円)。昨年、クリストフ・ル・メールをクリエイティブディレクターに迎えた。
 ファブリカは、1987年西武100%出資で設立された「ラコステ」ブランド衣料品の製造会社、西武ファブリカが前身。1993年に西武の子会社である大沢商会70%、ドゥヴァンレイ20%の出資を受けたのを期にファブリカに社名変更。2002年2月までは製造権のみを持ち、ほぼ全ての商品を同ブランドの日本における販売権を持つ大沢商会へ卸していたが、2002年2月末に大沢商会の持株を西武およびドゥヴァンレイが譲り受け、両社折半出資となる。これに伴い大沢商会ラコステ事業部の販売体制を譲り受け、日本での製造・販売双方の権利を保有し、新たにブテッィク戦略を展開するなど積極的な販売体制の構築を図っている。2003年2月期の売上高は約82億円(http://www.marubeni.co.jp/news/nl/nl030501.htm)。
 西武の経営不振に伴うリストラが背景にあったようだ。
 それにしても、この靴下、随分前に買ったものだったんだなぁ。