育成者権担保融資

 8/3のテレビ東京WBSワールドビジネスサテライト)で、「御社の特許に融資します。」と題した特集をやっていた(http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/)。
 特許などを担保にした中小企業向けの融資が広がり始めているそうだが、まだビジネスに結びついていない知的財産に対して金融機関はどう評価をしていくのだろうか。
 本試験の「経営法務」でも、特許権を使った資金調達方法が出題されたところだが、実際に担保設定を受けた事例を目にすることは大変興味深い。
 特集で、紹介されていた担保設定をされた主な知的財産権には、化粧品の商標権、地下水の淡水化装置、古着の販売ビジネス、携帯サイトのドメイン名などであった。
 中でも時間を割いて紹介されていたのが、びわこ銀行大津市)と商工中金とが協調して、種苗法に基づく稲育成者権担保に融資を行ったというもの。
 何でもびわこ銀行商工中金は、7/24、農業に新規参入する企業がブランド米を独占的に育成する権利を取得する資金として、この権利を担保に計9000万円を協調融資したと発表したのだそうだ。
 放送後、調べてみたら、知財情報局のHPに詳細が掲載されていた(http://news.braina.com/2006/0726/move_20060726_001____.html)。
 今回の育成者権担保融資とは、びわこ銀行が、取引先である親愛コーポレーションが、稲の民間品種「夢いっぱい」の独占的育成者権を、同じく取引先で従来の育成権者の中島美雄商店から取得し新規事業を開始するため、稲育成者権を担保に6000万円期間7年の融資を行ったもので、知的財産権担保融資の分野で先行する商工中金のノウハウを稲育成者権に応用した、金融機関として初の取り組みとしている。
 親愛コーポレーションと中島美雄商店は、びわこ銀行が運営する事業者向け情報コンテンツ「びわこビジネスクラブ」を通じて、今年2月開催の異業種交流会で知り合い、商談を重ね今回の取引に結びついたものだという。
 びわこ銀行では、取引先にビジネスマッチングの機会を提供するとともに、事業者の資金調達ニーズの多様化に応え、不動産担保に過度に依存しない融資を推進しており、今後とも地元の事業者に役立つ銀行「じぎん」を目指し、地域経済の発展に貢献していくとしている。
 これから、知的財産権を担保とした融資が、中小企業側から見て、新たな資金調達方途として一定の地位を築くまでに浸透していくか注目する一方、貸し手である金融機関にとっても、知的財産権の財産評価ノウハウが確立していくか、今回の取り組みを契機として、今後の動向に注目したい。