デトロイト市破綻

 アメリカのデトロイト市が破たんしたとのニュースが、世界を駆け巡った。
 負債総額は、約180億ドル(約1兆8000億円)に上るという。
 負債総額より何より気になるのは、警察が市民からの通報を受けて対応するまでにかかる時間が1時間と、全米平均の11分に比べて大幅に長く、また、市内の街灯の40%は消えた状態だったということ。
 そのため、凶悪犯罪発生率は全米1位だという。

 これから財政再建していくには、市職員の年金受給額の切り下げや債権放棄など、市職員や債権者が不利益を受忍しなければならないという。もちろん、住民も大きな負担を強いられることになるのだろう。

 この件を聞いて思ったのは、個々人の利益が先か、それとも、公共のシステムが維持されることが先かどっちなのだろうかということ。
 そして、こういったことは、国・地方を合わせて750兆円にも上る、日本や地方公共団体にも起き得ることなのではないかということである。

 実際、日本でも多くの住民は「無駄な税金の使い方を止めろ」と言いながら、具体的なことになると「この施設は欲しい。あの施設も欲しい」ということが多い。
 「無駄な税金を使うな」と言いながら、一方では、「自分の懐から直接出さないから、身近なものは造ってくれ、修理してくれ!サービスしてくれ」といったことである。
 しかし、住民サービスはただではないし、公共施設の建設、維持管理もただではない。

 今回の件は、対岸の火事でなく、実際に日本にも起き得ることなのではないかと思う。
 治安の維持や安全であるための必要なサービスが受けられだけの負担をしっかりし、必要のない給付を我慢するくらいの覚悟をしないとならないはずだ。
 治安が悪く、救急車でさえまともに稼働していない、安全でない都市に誰が住む気になるだろうということなのだと思うが、そういった最悪の事態を承知していろいろな要求をしないと、住むこともできない都市になってしまうということなのだと思う。