独占禁止法優越的な地位の利用と新聞販売店

 友人のKくんのことは以前にも書いたが、彼は高校時代新聞配達のアルバイトをしていた。だから、今でも、新聞店のことについて詳しい。
 そんな彼と先日会った時に出た話が、新聞販売店の話し。
 実は、Kくんが言うには、お世話になった新聞店の社長が先日亡くなったという。
 社長のお葬式に参列した彼は、その時、販売店の従業員たちが、「誰が後継者になるのか」と話をしているのを耳にしたという。
 社長にはKくんと同じ年くらいの息子Yくんがいて、Yくんも父親の新聞店で仕事をしていたので、当然Yくんが後を継ぐのだろうと思っていたが、そう簡単な話ではないという。
 新聞社の販売局から、「親子であっても当然に承継できるわけではない」と言われたというのである。
 最初、unizouは、新聞販売店に限らず事業者の子が当然のようにその事業を引き継ぐことに異論があったので、それは良いことだと思ったのだが、Kくんの話を聞いていくと、そういう考え方だけで済むような問題ではないと思い始めていた。

 というのは、販売店から、「新聞販売店の契約は片務契約で、契約するかしないかは新聞社にある。同じ地域に新たな販売店と契約することもある。」と言われ、「だから、営業権もない」と言われたというのである。

 Kくんが言うには、新聞販売店の営業は、若い世代の活字離れから、新聞購読世帯数が減少し、非常に厳しい経営を強いられているという。
 そんな状況の中、営業努力を重ねて経営を継続している販売店が多いと言う。
 そういった地道な努力の上に、新聞社は成り立ってる。

 そして、今回の話だけでなく、新聞社は販売店を自分たちの都合のいいように使い、従属的立場で利用しているという。
 新聞社の販売局の人たちは、簡単に購読数が伸びるかのような態度でふんぞり返って、営業努力を指示するそうである。それも、販売店の社長から見れば、「ずいぶんと若い新聞社の人間に・・・」だそうである。

 こういったことを聞くと、診断士の学習で習う独占禁止法の優越的地位の濫用(取引上の優越的地位を利用して不当に相手方に不利益を強いる行為)に当たるのではと感じたのである。

 新聞販売店が専売制になったのは、昭和29年頃だったそうだ。それまでは、読売も朝日も毎日もどれでも販売できたそうである。
 ところが、専売制になったせいで、新聞社の締め付けが厳しくなったそうである。
 世の中をリードする新聞社がこの様では、世の秩序はどうなるのだろうか?
 常々新聞社などのメディアが、真に世間のことを考えずに世の中をリードする姿に違和感を覚えることも多かったので、販売店を大事にしない新聞社はダメだなということと、大企業のメディアに頼らず、これからは様々な情報を自分で収集して吟味する時代なのだと改めて思った次第である。