弘法大師様が泣いている

 朝日新聞が、高野山真言宗がお布施を高リスクの金融商品に投入している問題について記事にしていた。
 運用額は関連法人を含め50億円超。元本保証がない商品などにより、一時は巨額の含み損を抱えた。
 騒動の責任をとって辞任した庄野光昭宗務総長は「リーマン・ショックで大きな損失が出たが、めちゃくちゃ利益が出た時もあった。アベノミクス効果でも改善された」と弁明した。宗内には「運用には勝ち負けがある」と開き直る声もあるという。
 記者は、宗教法人が高リスクの金融商品に手を出すことの是非について問う。

 私たちの暮らしは、各国のお金が国境を超えて飛び交うグローバル化した経済に左右されている。時代に翻弄(ほんろう)されず、いかに自分らしく生きていくのか、宗教に答えを求める人は少なくない。歴史ある宗教法人がマネーゲームに身を投じた事実は、その人たちの目にどう映っただろう。

 記者は、半年にわたる高野山取材で、僧侶たちの金品への態度に驚いたそうだ。

 大阪市内の高級ホテルで会議や会食をする。最高議決機関「宗会」の議員を退く際のあいさつ状に商品券を入れる人もいた。同宗の代表にあたる松長有慶管長は高野山内でも運転手付きの高級車センチュリーに乗る。

 
 松長管長は一連の朝日新聞の報道について、4月23日の宗会で資産運用を「バクチ」と表現しながら、「宗教者として環境問題に協力している時に、高野山の悪口があれだけ出てきたら、一般の人たちが手をつないでいく気持ちを起こすか、心配されている。朝日新聞は大きな目標を失っていることを分かっていない」 と話したそうだ。個の開き直りは、まさに、世俗にまみれた人の対応ではないか。

 そして、記者はこう締めくくっている。

 僧侶への視線は厳しい。読者からは「尊敬されるはずの僧侶がお金への執着が強いことに驚いた」「宗教活動に課税すべきだ」「氷山の一角ではないか」といった反応が相次いで寄せられた。
 清貧を旨とする僧侶もいる。安くても遺族が納得できる葬儀のため、法外な料金を請求する業者と渡り合う僧侶とも出会った。マネーゲームに反対する高野山真言宗の僧侶は「年3万人近くが自殺する。心の救済という本来の仕事に向かう時だ」と語った。
 資産運用の全容はなお不透明だ。公権力の介入を招かないためにも、自浄作用を発揮して信頼を取り戻し、本来の役割を果たしてほしい。グローバル経済にのみこまれている場合ではない。

 unizouは、記者の「公権力の介入を招かないように自浄作用を発揮して」という意見には賛成できない。
 所詮、宗教でさえも、そこに群がる人たち次第で、その宗教の教えと乖離した行動をしている。だから、性善説に寄らずどんな団体も公権力が定めた法律に基づき第三者の監査を受け、緊張感を持って運営するべきなのである。
 今の宗教界を見ていると、織田信長が、寺院が世俗の権力と一体化して宗教としての意義を忘れていたことや僧侶の腐敗ぶりを批判し、比叡山延暦寺を焼き討ちした気持ちがわからないでもない。そうならないようにするためにも、宗教本来が目指す大衆の心の救済を旨とし、お金のことをオープンにしてもらいたいと思うのである。
 そして、unizouの尊敬する弘法大師様を泣かせるようなことはしないで欲しいと、切に願う次第である。