生活保護法改正案
生活保護の不正受給対策を盛り込んだ生活保護法改正案が、今国会で成立されることになったそうだ。
法が正しく執行されることを行政に任せてばかりいて、何の創意工夫もしない国会がやっと重い腰をあげて、少しはその役割を果たしたと思うが、それでも、残念なところがある。
それは、生活保護を申請する際に資産や収入などを書類で提出することを義務付けていた改正案に「特別な事情があるときは、この限りではない」との条文を加え、申請書を提出できない事情がある場合は、口頭での申請を認めるなどの例外規定を設けたことである。
これは、民主党の主張を政府が飲んでのことだそうである。
このことは、行政に執行面でやりにくさを残した。
行政側も、そういったことにきめ細やかに対応できる人数が十分にいれば良いが、実際はそうではない。
だから、いろんな法律がざる法になる。
民主党は弱者救済と言いながら、本当の弱者を守るための創意工夫はしていない。
先日、大阪で母子が餓死したとのニュースがあった。
生活保護を受けることなく、満足に幼子に食べさせることもできず、母親も食べることもできずにずいぶん前に亡くなっていたのが、発見されたという。
こういう話になると、「行政が何かできなかったのか?」という話が出てくる。
こどもの人権にも関わることであり、いくら行政自体がきめ細やかにやろうとしても、予算や人員の制約があり、職員の負担感は相当なものになるので、行政が個々の実情を把握することは困難である。
では、どうしたらいいのだろうか。
母子は、電気も水道もガスも止められていたそうである。
電気・ガス・水道などは、ライフラインと呼ばれ、生活していく上で必要不可欠なものである。
こういった情報を行政が把握することは、行政の人員や仕事量から考えて、直接的に情報を収集するのは現実的に難しいだろう。
だから、料金が払えないからということで、事業者は何も考えず単純に止めるだけでいいのだろうか。
ライフラインに関わることであれば、状況を把握して延滞を行政側に通報する制度などを考えたらどうだろうか。
社会全体で弱者を保護する必要があるのではないか。
民主党の主張のように、「本当に困っている人が申請をちゅうちょすることになる」と言うが、本当に困っている人は、大阪の母子のように「申請をちゅうちょする、しない」の以前に、何も言わずに逝ってしまうのである。