コンビニの隆盛3

 政府の公務員制度改革案を批判して有名になった古賀茂明さんの著書「官僚の責任」には、「某大手自動車メーカーが国を滅ぼす?」という章がある。

 世界屈指の優良企業に数えられる、日本を代表する某大手自動車メーカーの経営手法を称賛する声は多い。だが、はたしてそれは称賛に値するものだろうか。僭越ながら私は、以前からこの大企業のやり方は日本経済にとってプラスとは思えないでいる。
 そのメーカーはたしかに儲かっている。大きな利益をあげている。しかし、儲かっているのはそのメーカーだけなのである。
これは私が中小企業庁に在籍していたときのことだが、その自動車メーカーに「トランスミッションのある部品の数割を納めている」という部品メーカーの経営者と話をする機会があった。それだけのシェアがあるのだから、さぞや儲かっているのではないかと訊ねると、
 「たいして儲かりません」と言う。
 「毎年、コストダウンと製品の改良を迫られるので、安定はしていますが、利益はカスカス。ほとんど出ません」
 協力会社と呼ばれる下請け業者はちっとも儲かっていない。はっきり言えば、その企業が莫大な利益をあげられるのは、本来は下請けが受けるべき利益まで吸い上げて独り占めしている結果と言ってもいのだ。

 大企業と中小企業の間には、どの業態にもこういったことが必ずある。
 そして、以前にも書いたが取引を継続するために、担当者に対する接待、リベートが行われるケースもある。
 そして、そのつけは、消費者に回される。
 コンビニは、本来、フランチャイザー(本部)フランチャイジー(加盟店)の間には、「官僚の責任」で取り上げられたような大手メーカーと下請企業のような関係にあるわけではないはずだが、実際は、似たような状況にあるような気がしてならない。
 大手メーカーや大手コンビニだけが、利益を吸い上げるようなやり方を無くしていくのはどうしたら良いのだろうか。
 大手コンビニ側の連結決算ではなく、フランチャイジー(加盟店)も含めた労働生産性を考えないと、真に多くの人が利益を享受している経営とは言えないのでではないかと、そう思うのである。