日銀金融緩和策

 「日銀の4日の金融政策決定会合で、新たな金融緩和の枠組み『量的・質的緩和』策となる資金供給の手段として、銀行などから購入する金融資産を、40年債を含む全ての国債に対象を広げるほか、国債に比べて価格下落などのリスクが高い資産の購入を増やし、日銀が市場に供給するお金の量を今後2年で倍増させることを決定した」という報道を聞いた。
 為替市場と証券市場は、大胆な金融緩和策に、すぐに敏感に反応し、株を持っている人や不動産を所有している人は、きっとほくそ笑んだと思う。
 しかし、何も持っていない人は円安に移行しているせいで必需品などの最寄品の値段が高騰し、未だにそれがどういうことで、将来どうなるのかということも分かっていないと思う。
 診断士の資格を取るには、試験科目に「経済学・経済政策」がある。
 なので、当然、金融政策も学習する。
 「今回の市場に供給するお金を2倍にする」ということは、お金を増やし消費や投資という有効需要を拡大し、景気を浮上させるということだとわかる。
 中学生で習う言葉で言えば、「公開市場操作」が記憶にあると思う。
 市中銀行の持っている国債を日銀が買う(買いオペレーション)ことによって、市場に貨幣を供給し、その結果、民間にお金が流れていくということ。

 しかし、unizouは、本当に大丈夫だろうかと心配な気持ちで一杯である。
 なぜかというと、この国をどうしよう、この国の人たちの生活をどうしようという理念がなくて、経済ばかり良くしようとしていると政治家や日銀が考えていると思うからである。
 お金が供給され、不動産取引が活発になるのはいいが、庶民はうなぎの寝床のような家に住み、隣近所とはひさしがぶつかり合うような状態でストレスを抱えて今までと同じように生きる。会社では、大企業を除いて、生産性が高まることもなく、中小企業は不公平・不公正な取引の中で企業経営を迫られ、そのため中小企業に働く労働者は搾取されて余暇もなく、育児に十分な時間を注ぐこともできない。
 お金が増えたところで、庶民の生活に何の変わりもない。
 本当の幸せは、生まれてきたこと、生きていることを楽しめる環境にあることだと思う。
 お金を増やし景気を良くする究極の目的は何かといえば、そういった本当の幸せをみんながつかめるようにすることだと思う。
 今回の日銀の金融緩和策で、そういう結果になるのだろうか?
 1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51か月間のバブル景気(バブルけいき)では、土地高騰のために住宅もスーパーもどんどん郊外へと移り、郊外の自然は破壊され、農地も住宅地へと変わったが、今では、その郊外の住宅や農地は荒れたり、寂れたりしている。
 理念のない景気浮揚は、一時の刹那的な満足を得られるだけで、この国に住む人を最終的に幸せにはしない。
 この国に生まれ、普通に努力して生きていけば、どういせう生活が送れるのかを、ぜひ示してもらいたいと、そう強く願っている。