人生のリセット

 小さいこと、大きいこと、人生の中で誰でもリセットしたいことがあるはず。
 しかし、自分だけの問題ではなく他人をも巻き込むことになるので、そう簡単にリセットできるはずがなく、問題を先送りする中、悶々と毎日を過ごす人生になる。
 会社なら、再建型の民事再生清算型の破産などが、会社をリセットするということになるだろうか。実際は、破産手続きも費用がかかるし、そういった費用も捻出できない会社も多いはずだ。
 そのため、債務超過になって経営が破たんしていても、きちんと会社を整理することができず、休業中の会社が多くなる。
 友人のKクンは、事業に掛かる費用を捻出するため、借入れを重ね、税金を滞納し、ニッチもサッチも行かなくなってしまった。
 本来なら事業を止め、破産し、再スタートを切るべきなのだが、特殊な才能があって収入は人並み以上にあるため、なかなか破産できず、かといって、完済・完納するまでは、50年以上の相当な期間が必要なのだ。
 そのため、5年以上も悶々と生活し、先の見えない中、毎日を過ごしているのだ。
 彼は、この5年の間に、体調を崩し、病気を抱え仕事をしている。
 自業自得と言えば、それまでであるが、今までのことについて精一杯の責任を果たさせ、彼の才能を活かすことは難しいのだろうか。
 彼に関わる債権者、国や地方の徴税職員は、何の解決策もなく、税理士でさえ、関与することを避けているため、他人によってこの状態がリセットされることはないだろう。
 中小企業施策利用ガイドブックの「11企業を再生したい」の中で、様々な企業再生の施策が紹介されている。
 資本主義の社会なのだから、企業間で切磋琢磨し、その結果の勝ち負けは必定なことだと思う。
 しかし、負けたからといって、人間を止めなければならないということではない。
 責任を負うべきことをしっかり負い、市場からは一旦退場し、その上で、再チャレンジできることが、本人にとっても、社会にとっても有益なのである。
 そういったことが、中小企業施策利用ガイドブックの「11企業を再生したい」の趣旨なのだと思う。
 何とか、Kクンがきちんと責任を果たし、彼の才能が社会に役に立ち、Kクンも社会もともに利益を享受できるような思い切った結果を導き出せる人はいないのかと、Kクン同様悶々とした日々を送っている。