粉飾決算

 先日、M&Aのコンサルティングを中心として行っている税理士に会って話を聞いた時、「うちは関与先に、税金を不正に少なくする脱税も、利益をわざと多くする粉飾も許さない」と話したのが印象的だった。
 というのは、unizouの経験では、多くの税理士が、税金を不正に少なくする行為には結構目を光らせているのに、利益を多くする粉飾行為には、意外と寛容な印象を持っていたからである。
 もちろん、上場企業のような、多くの株主がいるところでは、そんなことは許されないが、株主がオーナー社長や親族の場合は、利益を多く粉飾することのメリットが大きいからなのだろう。
 大体において、利益を多く粉飾する理由は、金融機関対策、つまり融資を受けるためであって、融資を受けられないことの方が、はるかにオーナー社長=株主にとって、大きな痛手になる。だから、やむを得ないという風潮なのだろう。
 日本では、取引をするのに、取引相手の決算書を見るという風潮がないから、被害は金融機関の対応にも基因しているとも言える。
 実際、金融機関は、どれだけ中小企業の決算書を吟味しているのだろうか。
 もし、決算書を吟味することが、形式的になっているとしたら、大きな問題である。
 以前にも書いたが、金融機関は、日本の中小企業を正しく儲け、社会的に認められるように導くための最前線にいるとunizouは考えている。
 だから、こういった行為にいつも目を光らせ、短期的なスパンでなく、長期的なスパンで物を考えるように中小企業を指導しながら、資金調達に貢献していくことが金融機関の努めなのだと思うのである。
 利益を多く粉飾する行為は、法人税や消費税を多く発生させることになる。
売上と仕入れなどの経費を両建てするなら関係ないが、そうでなければ、利益も消費税も多くなる筈である。そのため、税金を滞納するということが多くなるという話を聞いたことがある。
 粉飾決算なんてせず、正々堂々とやっていくことが、本当は一番大事なのだと思っている。