「人はなんで生きるか」を考える

 日曜日の夜遅く、テレビをつけたら、TBSの情熱大陸という番組で、「予約の取れない大人気料理店『賛否両論』店主に密着!走り続けて来た料理人が直面した妻の病・・・」と題して、料理人笠原将弘さんを取り上げていた。
unizouは、笠原さんのことを知らなかったのだが、番組のホームページでは、次のように紹介されていた。

 手ごろな値段で旬の素晴らしい創作和食が食べられるとして大人気の笠原の店。「最高の味を最高のタイミングで」出すために、材料の目利きからメニューの研究・客の接客まで万事手を抜かず、一方で日本料理の普及のためにと20冊以上の料理本を出版。“若き和の巨匠”としてテレビや雑誌にひっぱりだこの人気料理人となった。寝る間も惜しんでがむしゃらに走り続けてきた。

笠原将弘(料理人): 情熱大陸
 unizouが気になったのが、笠原さんは、幼いころにお母さんを癌で亡くし、28歳のときにやはり癌でお父さんを亡くしているという。そして、昨年9月に癌で奥様を亡くしたという。笠原さん夫婦には、3人のお子様がいるそうである。
 
 こういう話を聞くと、何度も紹介しているが、高校時代の英語を教えてくれたS先生が副読本として使用したトルストイの民話集の中の「人はなんで生きるか」を思い出す。
 この「なんで」の「で」は、「原因・理由・動機を表す。」助詞ではなく、「手段・方法,または道具・材料を表す。」助詞である。
 「どうして生きるのか」ではなく、「何によっていきるのか」ということになる。

 ある日、神様は天使に、一人の死にそうな女の魂を天国に連れて来るよう命じます。しかし、その女は生まれたばかりの双子の女の子を抱えており、しかも夫は死んでいました。今自分が死ぬと誰もこの子たちを育てる者がいないので、天使に魂を取らないでと嘆願します。天使はかわいそうになって魂をとらずに天国に帰ってしまいます。すると、神様は怒り、その天使に、次の3つの言葉の意味が分かるまで天に帰ってくるなと言います。
 「人の中には何があるか。」
 「人には何が与えられていないか。」
 「人は何によって生きるか。」

 両親を癌で亡くし、お子様が3人もいるのに奥様を癌で亡くし、笠原将弘さんはなんてかわいそうな人だと、傍からは思ってしまう。
 もし、この本を読んでいなければ、unizouも、この本の中の天使のように、同じように奥様を救ってしまったことだろう。
 しかし、今では、それぞれの人に与えられることに、何か意味があるのだと思うようになっている。
 だから、悲しみに暮れて毎日を過ごすことがないようにしたいとも思う。
 笠原さんも、奥様の死後、ただひたすらに歩き始めている。
 
 本の最後に、次のような場面がある。

 6年目に双子の女の子が一人の女とともにやって来る。その女の子たちは6年前に死んだ、あの女の子供たちだったのです。近所の女が、その女の子を引き取り育てていたのです。そして、その女が他人の子供を見ながら胸いっぱいになって、涙をこぼす。

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