仕事の管理(1) まじめ、不まじめ、そして非まじめ

 ここ半年、部下にできるだけ手際よくやらせようと早めに仕事の指示を出していても、瀬戸際になってバタバタしている光景をずっと見て来た。
 そのたびに、「時間があったときにどうして徐々にやっていないの?」と、はらわたが煮え繰り返る気持を抑えて、unizouの仕事の管理が悪いのだと反省していた。
 しかし、個々の能力は高いのに、何か物足りないという思いをいつも抱いて、部下に対して接していた。
 部下のKクンは、非常にきちょうめんでまじめ。経験も豊富なので、何も言わなくても自分の仕事はやりきるだろうと思っていたのに、自分の思い入れの強いことばかりに集中し、期限の迫った大事な仕事を後回し。期限間際になって、大事な仕事をバタバタとやり始める。信頼感は一気に崩壊、その後何度も、仕事のやり方に苦言を呈した。
 彼の最大の問題点は、まじめ過ぎるやり方。人の二倍も三倍も働いているのに、結論の出ないまま、いろいろなことを調べ、それが結果に結びついていかないこと。つまり、使った事務量は、徒労に終わる。
 今彼に求めていることは、ふまじめでなく、非まじめに仕事をしてもらうこと。
 中島孝志さんの著書「『問題解決』ができる人、できない人」(三笠書房刊)には、次のような一節がある。

頭のスイッチを切り替える
 問題解決に取り組むとき、いちばん大切なこと。それは頭のスイッチを切り替えることである。
 ロボット博士で有名な森政弘さん(東工大名誉教授)から、こんな話を聞いたことがある。
 部屋に3匹のハエが紛れ込んだ。まじめなハエは窓ガラスに何度もアタックして出ようともがく。果てしない努力をするが、隣の窓が開いていることに実は気がつかない。それで疲れ果てて息絶えてしまうのだ。不まじめなハエは、最初からどうせ無理だと何もしない。それで、自然に息絶えてしまう。
 ところが、非まじめなハエは一度アタックしてダメだと知ると、部屋の中央でしばし様子を眺める。そして、風の吹く方向に気づいて、開いた窓に一目散に飛んでいく。
 そこで助かる、という話である。
 一匹のハエはあなた自身であり、わたしでもある。
 単にまじめに取り組むだけでは、問題は解決しない。努力の上に努力を重ねてもそれは無理だ。努力の効用を否定するつもりはないが、同じやり方が通用するほどビジネスの世界は甘くない。
 かといって、不まじめでは話にならない。
 問題解決ができるとすれば、非まじめタイプの人間だろう。
 たくさんの情報のなかから、「これは」という正解を導く目利き。仕事に懸命に取り組むことは大切だが、集中して一歩離れて見る。仕事の流れを全体の中で考えたり、ときには逆さまに考えてみる。これがもう一つ付加価値をつけた問題解決になるのである。

 unizouも人の子。本当は、誰からも好かれていたい。しかし、部下の成長を期すために、鬼となって、苦言を呈す毎日である。(続く)