東日本大震災と因果応報の嘘と真実

 「そんな悪いことしてるから罰が当たったんだ!」といった「因果応報」を、自分や他人のことで思ったりすることが、今まで生きていて何度もあったか知れない。
 実際、マカフィーの法則(その人の人生は、その人が思い描いたようになる。良いことを思えば良いことが、悪いことを思えば悪いことが起こる。潜在意識はメカニックで正邪善悪に判断をつけない)やピグマリオン効果(強く思い続ければ願いは叶う)も、真実だと思うこともたくさんあった。

 今日で、東日本大震災から2年が経過する。
 2011年3月11日14時46分18秒(日本時間)、宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源とする突然襲った大地の揺れは、大津波をも引き起こし、家屋などの建物や大地に甚大な被害を与え、たくさんの犠牲者を出した。
 そして、東日本大震災を経験して、「因果応報」と言えないこともたくさんあるんだと悲観的に人生を思うようになった。
 そんな時、ブラッド・ビッドとショーン・ペンが主演した映画「ツリー・オブ・ライフ」をDVDで観た。
 牧師がミサで信者に次のような言葉を語るシーンがある。

ヨブは高みに”巣”を作れると思った。
高潔な行いが災いから身を守るのだと
だが友人たちは誤解し―
神が罰を与えたと思った
密かに過ちを犯したのだろうと
だが違う
災いは善なる者にも訪れる
我々は身を守れない
子供たちを守れない
”せめて子供たちは幸せに”と―
信じることもできない
”平和や幸せは永遠に続く”と我々は思う
だが違う
雲のように消え―
秋の葉のように枯れ―
木のように引き抜かれる
この世の”計画”には偽りがあるのか?
不滅のものはないのか?
去らぬものは何もないのか?
同じ場所にはいられない
我々は旅を続ける
富や運命より尊い目的をみつけなくては
尊い目的だけが平安をもたらす
賢者の肉体か または 痛みを感じぬものか
不安にも負けず―
美しさや損なう欠損や―
健康を害する弱さもいとわぬ者か
神を信じますか?
ヨブも また神に忠実だった
友や子らがあなたの支えですか?
災いから身を隠せる場所はどこにもない
いつ悲しみが訪れるのか
ヨブも 誰も知らない
すべてを奪われた時ヨブは―
奪ったのが神であると知った
彼はこの世に背を向け
永遠なるものを求めた
”与える神の手”を見たのは彼だけか?
”奪う神の手”を見たのも
彼ではなかったか?
彼が顔を向けるのを見たのは彼だけか?
神が背を向けるのを見たのも彼では?

 曽野綾子さんの著書「心に迫るパウロの言葉」(新潮社刊)にも、次のような一節(P180)がある。

 旧約の思想、つまりユダヤ教では、人間の苦しみは、その人の悪業の結果であった。しかし、キリスト教ではそんなことはない。善人がこの世でしばしば外見的には悲惨な一生を送る。もちろん神の意志に沿った生活をすることで、その代償として、その人の心に喜びがないわけではないのだが、だからと言って、必ずしも彼に現世での運が上向いて来て、出世するとか、商売が繁盛するとかいうことではないのである。

 そして、最後に次のように締めくくっている。

 自分の生涯を納得し、満ち足りて死ねるように準備するということは、この世で出世する以上の大事業なのである。

 どう人生に向き合い、今を大切に生き、そして、今をつなげていくか、それが大事なのだと思いながら毎日を送っている。