リベート

 3月10日付読売新聞朝刊(13版)で、「十六銀行OBら7億8千万円搾取疑い」という記事が掲載されていた。
 十六銀行が外注した行内通信システム開発業務を巡り、受注会社の通信機器販売大手のネットワンシステムズ十六銀行OBの本部長、開発業務に携わっていた十六銀行行員やシステム開発会社の社員の計3人が、別の会社への架空発注を繰り返し、ネットワンシステム社から総額7億8千万円をだまし取った疑いとのニュースである。
 そして、その不正がわかったのは、東京国税局の税務調査が端緒だと書かれていた。
 十六銀行やネットワンシステム社のチェックシステムは、どうなっていたのだろうか?
 そんなことは絶対起きないと、高を括っていたのだろうか?
 以前から書いているが、曽野綾子著「心に迫るパウロの言葉」にあるように、「初めから正しい者も、完全に善を行う者も、一人もいはしない」ということをわきまえ、チェックシステムを構築し、正しい会計処理を求めていれば、その3人が不正を犯し、過った道に進むことはなかったのだと言う気がしてならない。
 権限がある者だからと、物を言えない雰囲気があったのではないか?
 その3人の罪が許されるわけではないが、そういったことを簡単に許してしまう銀行や会社にも問題があると言いたい。
 そして、この事件は氷山の一角で、会計処理が杜撰なことの証明であり、第2、第3の不正がないとは言いきれない。
 以前、unizouが大手メーカーなどと取引している中小企業や個人事業者の人たちから、これと似たような話を聞いたことがある。
 それは、リベートや接待交際費のことである。
 中小企業などは、受注をとるために大手メーカーなどの担当者、特に課長職や部長職などに、リベートを送ったり、接待したりしているというのである。
 最初の数万円の贈答が10万円、100万円となったり、中国などへ同伴で旅行し買春などの接待をしたりしているというのである。
 unizouがその立場になったら、中小企業や大手メーカーのどちらの立場でも、絶対しない、受けないというほど強いかと聞かれれば、「・・・」と答えるだろう。
 中小企業などの受注側のリベートや接待交際費は、発注側の大手メーカーなどの外注費に上乗せされる。結果として、製品の値段に跳ね返り、価格競争力を失わせる。個人の不正が、会社は存亡の危機を招く。
 だから、きちんとした会計処理やそのチェックシステムが必要なのである。
 個人は、人の金で楽しみを求めるのでなく、自分の稼いだ金の範囲で生きて行くことが、一番幸せなことだと認識してもらいたい。