体罰問題と社会的制裁

 昨日家に帰ってテレビをつけたら、ちょうどNHKの「news watch 9」で大阪市立桜宮高校の体罰問題の当事者の教師が顔を出して謝罪をしていた。
 なんだかとっても違和感があって、気分が悪くなった。
 誰に謝罪をしているのか?
 視聴者に向けて謝罪をする必要があるのか?
 そして、何よりも顔を出させてまで、「誰」が謝罪をさせているかの方が、気になった。
 当事者の教師は、自殺した生徒と親に向けて誠意を持って謝罪し一生を掛けて償うべきとは思うが、なぜ、関係のない視聴者に顔を出して謝罪する必要があるのか全く納得がいかない。
 unizouは、こういったマスコミの姿勢にいつも「傲慢さ」を感じている。
 きっと、マスコミは、視聴者(NHKは「国民」と思っていると思う)が、教師に社会的制裁を加えたいと望んでいて、それを代わりにしているという認識なのだろう。
 いや、そうは思っていないかもしれないが、結果的にはそうなっている。
 もし、真実を解明するというだけなら、顔を出さずにインタビューだけをすればいい。
 マスコミが、こういった社会的制裁を行うことができることになったら危険だ。
 もっと危険なのは、国民がマスコミを利用して、当然のように、社会的制裁を加えることを普通のことだと思うようになることだ。
 今回のことは、教師と生徒、教師と生徒の両親できちんと向き合っていくべきなのだと思う。謝罪し償うべき相手は、亡くなった生徒、生徒の両親である。
 逆に、市、教育委員会や学校の幹部は、「体罰を受けた生徒が自殺した」ということを、組織の幹部として、きちんと説明し謝罪する必要がある。
 教師の責任は、様々な形で法的にきちんと処理(懲戒免職もその一つ)されると思うが、組織の責任は公的でもあるにかかわらずあいまいで、処分もうやむやになりがちだ。
 公的な立場に立つ人は、様々な問題が出た時、身を賭して処すべきといったリスクを覚悟して、その任に当たるべきである。責任の取り方をわきまえるべきだと思うのである。でなければ、公的な立場(企業の社長など組織の幹部も含む)に立ってはいけないと思うのである。