経営がうまくいっていない会社の根幹的な問題は売上が少ないことなの

 様々な経営現場を見て来たが、本当に会社(中小企業)をダメにしているのは、売上が少なくなったことなのだろうか?もちろん、「全然売上がない」では、どうにもならないが、経営が悪化している企業のもっと根幹の問題は、これまでの経験で、本当はもっと簡単なことだと思うようになった。

 平成17〜8年頃に相談を受けた会社、電気設備業の会社。
 数十年前に父親から受け継いだ社長が、今は細々と続けている会社である。
 父親はやり手で、ずいぶんと事業を広げたが、人も良かったようで、頼まれて連帯保証人になったりしていたようだ。
 そして、父親が死んで社長が会社を引き継いだ頃には、連帯保証人を頼んだ会社や友人・知人の経営状況が悪くなり、保証債務を負担しなければならなくなった。
 それでも、まだ、事業はうまくいっていたので、保証債務を払いながらも何とか資金繰りができていたようだ。
 ところが、それから、バブルが崩壊し徐々に売上が減少し始め、資金繰りが悪くなった。
 そこで、会社の規模を縮小しながら何とか事業を継続していたというのが、平成17〜18年頃の実情だった。
 あるとき、社長、一緒に並んで座っていた社長の奥さんと面談した。
 社長は、朝早くから夜遅くまで一生懸命仕事をしているタイプで寡黙な人。
 一方の奥さんは、ずけずけモノを言うタイプなのだが、聞いていて社長がかわいそうになってくるようなことばかり言う。

 先代の社長も、旦那も、人が良すぎて騙されてばかり。
 お金がないのは当たり前よ。本当にダメな人たち。
 こんな人だから、仕事がうまくいかないんだわ。

 この話を聞いていて、ぷつんと切れてしまった。

 稼いでくる社長の悪口ばかり言って、それで何とかなると思ってるの。
 朝から晩までまじめに働いて、一生懸命やってるじゃない。
 女遊びをしたとか、お金を投機に使ったとか、そんな話もないし、先代から引き継いだ状況の中で一生懸命やってるじゃない。
 文句ばかり言っても、先に進まないし、それで、奥さんどうするんですか?

 確かに、連帯保証人になったことも悪いし、もともと社長に経営の才能がないのかもしれない。
 しかし、何より肝心なのは、家族が社長や会社をサポートする態勢になっていないことだ。
 実は、unizouはそういった事例をたくさん見て来た。
 だから、オーナー家族が経営する中小企業で大事なことは、親子、夫婦、兄弟、社長と従業員の仲が良いことだと思うようになった。
 経営が悪くなる原因の多くは、それらの関係に起因することがほとんどだからである。
 売上が少なくなっても、それらがうまくいっていれば、立て直すことは可能なのである。
 中小企業診断士には、そういったことまでは入りにくいこかもしれないが、本当は、その辺まで理解していないと、きっと企業の経営改善はできないというのが持論である。