ワーク&ライフバランス

 たびたび出てくる友人の公務員Kクン。
 彼は、至って真面目な性格(くそまじめとか、融通が利かないといった人では決してない)で、仕事面では男性・女性と言った性差に関係なく部下を扱い、それぞれの家庭事情に配慮しながらチームをまとめ、毎年毎年実績をあげて結果を出してきた。


 彼を見ていると、そして、彼が話題にする彼の周りにいる人たちのことを聞くと、良く世間で言う「公務員はダメだ」とか「親方日の丸だから・・・」といった話とは、全く別の人たちなのだという気がする。
 Kクンは、自分の仕事に真摯に向かい合い、朝早くから夜遅くまで、一生懸命働いている。


 そんな彼も、部下のことでは悩みがあったらしい。
 というのは、今までの彼の周りにいるすべての人が、仕事に真摯に向き合っているという人ばかりではなかったというのだ。


 数年前に彼から聞いた話しになる。
 彼の部下にお子さんのいるMサンと言う女性がいた。
 彼女は、内部事務の仕事を長年にわたって従事していたのだが、定期異動でKクンの下で仕事をすることになった。


 どこの役所でもそうだが、内部事務の仕事は、量さえ増えなければ自分のペースでできる仕事が多い。
 だから、事務に支障がなければ、おしゃべりしながらでも、十分こなせる。


 ところが、Kクンの下で従事する仕事は、外部折衝の多い、営業的な仕事で、Kクンに言わせると、量も多く、非常に多くの段取りが必要な仕事だという。


 Mサンは、内部事務の仕事の仕方が抜けきれず、朝来ると世間話でおしゃべり、しばらくして仕事に取り掛かったと思うと、違う部署の知人のところでおしゃべりと、集中して取り組む時間はわずかなのだそうだ。
 とは言っても、Kクンは、Mサンにとって初めての職場だからと、いろいろ手を掛けて面倒をみていたそうだ。
 ところが、その気持はMサンには一向に伝わらず、相変わらずマイペースで、量もこなせず、結果も出せず1年を終えたという。


 Kクンは、「やはり向き不向きがあり、今の職場でない部署がMサンにとっていいのだろう」と考えたそうである。


 しかし、企業経営理論で取り上げられているポジティブアクション(固定的な性別による男女の役割分担意識や過去の経緯から、男女労働者の間に生じている差を解消しようと、個々の企業が行う自主的かつ積極的な取組をいう)により、役所は、MサンをKクンの部署で登用し続けた。


 一方のMサンは、仕事ができないことに多少の悩みは持ちつつも、相変わらずの仕事の仕方だったそうである。


 最近のことだが、unizouもある女性から、「仕事は仕事、プライベートはプライベートなので、9時から17時までが仕事の時間、それ以外はできる限りプライベートと、しっかり線引きしていますよ」と言われた。
 uzizou自身も、以前、福利厚生の仕事を経験して、ライフプランや育児支援、ワーク&ライフバランスなどについて、良く理解しているつもりだ。
 しかし、である。そう何事も簡単に割り切れるほど、仕事は生易しいものではない。
 どちらかに偏るのはもちろん良くないし、大事なのは、仕事もプライベートも責任感を持ち、やりがいを感じることでだと思う。


 女性一人一人が、そういう気持を持たずに、役所が、「女性の登用」ということばかりにこだわった状態で登用し続けることは、社会全体を危うくするのではないかと思うのだが、考えすぎだろうか。