東京家族

 山田洋二監督の映画「東京家族」を週末に観て来た。
 観客は、unziouより年配のご夫婦が多かった。

 映画好きのunizouは、映画を観るとき、「ただただ楽しめる」「泣ける」といった大括りで観ているのだが、ここ最近、そう「泣ける」映画に出会わなかった。
 ところが、今回観た「東京家族」は、大粒の涙が頬を伝わり、涙が乾いた後の顔はパリパリだった。
 「これって泣ける映画だよ」と言われて観に行った映画が、思ったほどでもなかったということはかなりあったが、ここまで泣けたのは久しぶりだった。
「unizouにこんなに涙があるなんて・・・!?」と思うほどだった。

 2012年に文化勲章を受章し、監督50周年を迎えた山田洋次81本目の監督作。名匠・小津安二郎の名作『東京物語』をモチーフに、設定を現代に置き換えて家族の絆を描いた作品。田舎に住む老夫婦と東京で暮らす子供たち─近くて遠い両者の関係を通じて、夫婦や親子の絆、老いや死について問いかける。

 
 キャストの皆さんすべていいのだが、特に橋爪功さん、吉行和子さん、そして、妻夫木聡くんの演技がすばらしかった。特に、妻夫木聡クンの泣く演技は、特筆すべきものだった。


 普段何気なく生活している中、誰もがいずれ死を迎える。
 誰もが、自分の死期は知らない。健康そうだった人に、驚くほど、突然にやってくることもあるし、病気がちで長生きはできないだろうと思われる人が、長生きしていることもある。
 病の床に伏している人であれば、周りも覚悟が徐々にできるだろうが、そうでない場合は、辛い。しかし、残された者は生きなければならない。どんなに辛く、悲しく、寂しいことであっても・・・。それだけは、言える。


 映画の中で、過疎化した瀬戸内海の島に住む両親と東京に住む子たちの状況をみると、グローバル化した世の中になったと言っても、基本は、家族は近くにいられる環境がいいのではないかと思えた。
 また、そうしたくてもできない理由に、雇用の問題とかがあるというのなら、「中小企業診断士が、その土地、その土地の個性を生かした産業を育成し、雇用を確保し、均衡ある国土の発展ができるようにしなければならない」と、そんなことを考えながら、エンドロールを眺めていた。お勧めの映画であることは、間違いない。