銀座資産家夫婦失踪事件と金融機関

 銀座資産家夫婦失踪事件。夫婦の遺体が発見され、主犯の男は逮捕された。
 亡くなってしまった今では、酷な批判になるかもしれないが、多くの人は夫婦に同情することができない事件ではないかと感じている。
 同情すべきは、息子のことをずっと待ち続けていた高齢の両親だ。
 息子たち夫婦とはかけ離れた質素な生活を送り、30年間で数回しか実家によらない息子を「息子は優しい人間で、芯が強い。生きて帰って欲しい」と訴えている。

 両親には申し訳ないが、亡くなった息子のどこが一体どこがやさしいのか?
 人間の心を持つなら、たとえ自分が貧しくても親のことを思う。何もできなくても、何かしてあげようと心を痛める。
 帰れなくても、帰って両親を労りたいと切に願うのが、子ではないのか。

 銀座資産家の夫婦は、人間の心を失ってしまったのではないか。そういう心に、入り込んできた人たちがいるのではないか。そう思ってしまうのである。

 銀座資産家夫婦の夫は、投資ファンドのマネージャーだそうである。
 投資ファンドがいかにいい加減なものか目の当たりにしたことがあるunizouには、こういう人たちに理念や倫理があるのかとさえ思う。
 単にお金を集めて、どこかに投資し、儲けるだけなら、投資ファンドを含めた金融機関なんていらない。


 何百万円、何千万円、何億円・・・。
 元々のお金は、誰かが汗水垂らして働いた対価である。
 それが、短期間で、10倍、100倍にも紙くずにもなる。

 思いだすのは、ヤクルト巨額損失事件である。
 1991年から1998年までデリバティブ取引を行い、1000億円を超える損失を出した。99年12月、東京地検特捜部に商法違反(特別背任)や所得税法違反(脱税)など五つの罪で起訴された。法人としての同社も、同債券の損失約九十五億円を粉飾したとして、証券取引法違反(半期報告書虚偽記載)で起訴された。

 ヤクルトレディが、1本100円前後の品物を、雨の日も風の日も暑い日もバイクで配達しても、月収7万円程度だそうだ。
 ヤクルトレディが一生懸命売上に貢献したのに、役員は大博打を打って、巨額損失を出した。
 投資すべき企業、育てる企業をきちんと見極め、子どもを育てるように企業の成長に寄り添い、見守り支えてあげるのが、投資ファンドを含めた金融機関の役割ではないかと思っている。