ニワトリが先か卵が先か

 企業の資金繰りが悪くなったとき、先まで見越している企業なら、悪くなる前に融資などによる運転資金の捻出方法を考える。

 先を見越していない企業は、さてどうする・・・?
 

 従業員の給料を遅延させるわけにはいかないので、支払いをのばしてくれる取引先にお願いする、役員報酬を未払いにするなどの方法をとるだろうと思う。
 どうしても支払いを伸ばしてもらえなければ、あるいは役員報酬を未払いにすることができないなら、手っ取り早くて、あまりうるさくいわれない方法が、税金などの公租公課を滞納することだ。
 取引先に支払いをしなければ材料は入らないし、従業員に賃金を払わなければ、働いてくれないし、従業員の生活に影響する。
 税金などは、督促状がきても、すぐに差し押さえられるわけでもないし、毎日催促に来るほど、国、県や市町村の職員の人手が余っているわけではない。
 当然のことだが、そうなると高率の延滞税を支払うことを覚悟で、滞納する道を選ぶ。


 しかしである。この延滞税が、後でボディーブローのように効いてくる。
 資金繰りは益々悪化し、悪循環になってくる。


 それも、そのはずだ。
 中小企業の経常利益率は、3.5%前後なので、年率14.6%の延滞税では、当然、利益から納税資金を捻出できない。


 では、一時的に売上が減少し、資金繰りが悪化したものの、それを乗り越えて単年度ベースでは売上が伸びて黒字になったたような企業は、たまってしまった滞納分の資金の捻出をどうするだろう。
 

 金融機関では、滞納しているような企業にお金を融資するようなことはしない。
 しかし、もともとオーナーが資産を持っているか、お金持ちの友人や親族がいない限り、大抵の企業は金融機関に頼らなければ、資金繰りの手当てをなしえない。


 こうなると、「ニワトリが先か、卵が先か」の議論になってしまう。

 「滞納しているから融資できない」、「融資できないから滞納が延々と続く」といった状態となる。
 実際は、金融機関から運転資金として納税資金を借りて、公租公課を支払っている企業と、滞納している企業では、赤字であった事実は一緒なのに、借りられる企業とそうでない企業ができる。


 だからといって、「何でもいいから貸してあげてください」と、unizouも言うつもりはない。
 要は、先を見越せる企業となるように手間暇かけて企業を育ててもらいたいし、融資をする際は、担保の有無ではなく、その企業の本質を見極めてその是非を判断してもらいたいと思うのである。