REAL ESTATE

 これだけの先進国なのに、この国の住宅事情の悪さは目に余るものがある。
 いかに国土が狭いと言っても、狭い土地にぎりぎりに建てられた住宅や、隣の部屋とプライバシーに関して何の配慮もないアパートがいかに多いことか。

 住めば都と言うものの、住んでいるところに愛情が持て、生活した思い出や記憶が懐かしく思い出せ、長く住みたいと思うような住宅やアパートは少ない。


 これらのすべての原因は、土地を持つ資産家と不動産屋たちの自分のところの利益ばかりを優先する姿勢が根本にあると、unizouは思う。
 そして、そういった姿勢を改めさせない政治家や行政も、一端の責任はあると思う。


 これは九州の不動産鑑定士さんと一緒に仕事をした時に聞いた話。

 ある大手のアパート建設、管理会社は、建設費にかなりの上乗せがあり、また、その後の修繕費も高いため、空き室の家賃保証、地主の海外旅行や国内旅行への招待などができるという。
 地主は、そういったことは知らされずに、能天気にも、「土地を遊ばしておくのももったいないし、空き室の家賃も保証してくれるのだから、まあいいか」とお願いするという。


 大体、空き室の家賃をただで保障してくれるような、そんなうまい話はない。
 どこの世界でもそうだが、会社側が損するような仕組を作れば、従業員の給料や取引先の支払いができなくなり、その会社の未来はない。
 だから、必ず、そういった会社は、きちんとリスク計算している。
 地主が、リスクを負わず、儲けようなんて無責任であり、社会全体にひずみを生む。


 また、先日、群馬県太田市に出張に出かけた。
 太田市や近辺の大泉町は大企業の工場が多く、一時は多くのブラジル人が住んでいた。
 しかし、景気の低迷による工場の撤退などが相次ぎ、ブラジル人は母国へ帰国してしまった。
 今では、近郊の地主が建てたアパートは、空室が多く見受けられ、地主は金融機関への借入金の返済に支障を来し、やむを得ずアパートを売却したり、持っている他の土地を売却して返済しているケースが多いという。


 平成5〜6年頃のもうずいぶん以前の話になるが、債務者が、借金返済のために所有している土地を、銀行で売買契約する場に立ち会ったことがあった。
 その土地は、債務者の最後の財産だったようで、地目は「墓地」だった。
 都市部とは言え、駅などからの交通機関からは程遠い辺鄙な場所だった。
 そういったところにある「墓地」まで、お経をあげて平らにし、戸建て住宅の敷地として売却したのだった。


 アメリカの不動産業者は、信頼が厚く、社会的な地位も高いと聞いたことがある。
 日本の不動産業者も、与えられている使命をもっと認識し、土地が次世代の資産として「つなぐ」ことができるようなものになるよう努力してもらいたいと思っている。
(参照)
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