中小企業再生支援協議会

 中小企業診断士中小企業診断士を目指している人なら、当然のごとく知っている「中小企業再生支援協議会」。
 一体どのくらいの事業者が、中小企業再生支援協議会のことを知っているのだろうか。
 そして、どういう事業者を助けていかなければならないのか。


 中小企業再生支援協議会は、「財務上の問題を抱えているが、事業の収益性はあり、事業再生意欲を持つ中小企業」の再生支援に、第一段階は「窓口支援」、第二段階は「再生計画策定支援」のため専門家(中小企業診断士、弁護士、公認会計士、税理士など)からなる「個別支援チーム」を結成し、具体的な再生計画の策定を支援している。 
 平成11年8月に制定された「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」第40条〜47条(中小企業再生支援指針)により、平成15年から各県に設置された。


 unizouも、以前、中小企業再生支援協議会の支援を受けようとしている事業者にあったり、再生の相談中の事業者にも会ったりしたことがあった。
 再生支援を希望している事業者が、中小企業再生支援協議会の人たちと接触する際に立ち会ったこともあった。


 そういった経験を通して感じたことは、金融機関の頑な姿勢である。
 多数の金融機関が絡む案件では、他行の様子を見て、「事業者より自行の利益」と言う感じだった。
 財務上の問題は、実際は事業者よりも金融機関側に問題があるケースが多数(過剰な設備資金、不要な不動産の購入や投資資金へ融資)なのに、事業者の借り手責任ばかり訴え、中小企業再生支援協議会の再生支援の土俵に乗るケースが少ない。


 そんなことが要因か、当初は、金融機関の債務免除が最大・最速の再生の方法だったはずだが、今では、リスケ、第二会社方式が再生の方法の主流になっているらしい。


 「再生計画策定支援」の専門家チームは、中小企業診断士、弁護士、公認会計士、税理士などとなっているが、 元々、企業再生・事業再生の実務経験豊かな金融機関のOBも含まれており、金融機関の意向を強く含んだものにならないか懸念され、中小企業再生支援協議会の意義そのものが失われかねない。


 次の話は、unizouがある金融機関の行員から聞いた話だが、本当なら金融機関って一体何だろうと考えさせる話であり、中小企業再生支援協議会が積極的に関与すべき案件だとunizouは思うのである。


 ある大きな温泉地から1時間半以上も山間部に入った場所に、そのホテルはある。母親がやっていたわずか数室の民宿を、平成5年に、改装が必要になったのを機に、村役場に勤めていた息子は村役場を辞めて社長になり、改装を計画した。
 当初は、数室だった民宿の客室を、多少増やすつもりだったのだが、金融機関は、次々と大がかりな施設計画を勧め、6億円もの融資を受けることになった。 
 素人の社長は、言われるがまま融資を受けたものの、その後バブルははじけ、元々奥深い山奥で集客力もなく、売上が大幅に減少したため、返済は滞った。そして、平成5年から20年以上を経過したのに、未だに5億円の返済残高があるという。ところが、その金融機関は、何もしないまま返済を迫っていたそうだ。
 社長は、返済の手立てのないまま、公租公課を滞納し、夫婦二人で日々の生活のためだけに働き、現金商売を続けているという。

 その金融機関の行員は、組織の一員故に、その社長に何もしてあげられないことを嘆いていた。


 中小企業再生支援協議会は、どうあるべきか。
 バブルがはじけて、20年以上経過しているが、「財務上の問題」が、借り手である事業者の責任ではなく、貸し手である金融機関側の責任であるケースも残っている。 そういった問題を積極的に関与し、解決してもらうことを期待している。