経営セーフティネット

 書店を営んでいる友人Hが、消費税納税のため金融機関に借入れを申し込んだが、条件が整わず、「融資はできません」と言われたという。
 unizouが中小企業診断士を目指していることを知っていた友人は、「融資を受けられるようなところを知らないか」と簡単に聞く。
 金融機関を余り快く思っていないunizouに、そんなつてはないし、第一、金融機関は担保・連帯保証人主義だから、すばらしい事業計画書を見たって、こつこつやっている中小企業に融資などしないというのがunizouの持論で、Hのように担保などなく、ありきたりの書店をやっているところなど金融機関が融資する見込みは到底ないと考えた。


 そこで、中小企業診断士の資格取得のために習ったことを思い浮かべた。

 思いついたのが、中小企業経営・政策で習う中小企業倒産防止共済(経営セーフティネット)。


 「中小企業倒産防止共済法に基づき、中小企業の連鎖倒産防止と経営の安定を目的として中小企業基盤整備機構が運営する共済制度」と、資格の学校の本にはある。
 もちろん、unizouは、事業者ではないので、実際に使ったこともなければ、使うようなこともない。

 Hに聞くと、それなら10年以上前から掛けているという。

 中小企業基盤整備機構のホームページで詳細を確認する。
 http://www.smrj.go.jp/tkyosai/000771.html

<制度の現況>
 昭和53年に発足した本制度は、取引先事業者の倒産に直面した際の迅速な資金調達の手段として、これまで多くの皆さまにご利用いただいています。
 平成24年3月末現在で約31万件の在籍件数となっています。

<加入資格>
 1年以上継続して事業を行っている中小企業者で条件に該当する方です。

<掛金について>
 掛金月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000円刻み)で自由に選べ、掛金総額が800万円になるまで積み立てられます。掛金は税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できます。

<共済金について>
 加入後6ヶ月以上が経過して、取引先事業者の倒産によって売掛金債権等が回収困難となった場合に、最高8,000万円の共済金の貸付けが受けられます。


 Hは取引先が倒産したわけでもないからだめか・・・。とあきらめつつ、ホームページを見ていると、「一時貸付金」とある。

<一時貸付金>
 取引先事業者に倒産の事態が発生していなくても、解約手当金の範囲内で臨時に必要な事業資金の貸付けが受けられます。

「それなら受けられるかも」と、内容を読んでいく。
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/050951.html#kyosai1


掛金納付月数 一時貸付金の貸付限度額
1ヶ月〜11ヶ月 0円
12ヶ月〜23ヶ月 掛金総額×75%×95%
24ヶ月〜29ヶ月 掛金総額×80%×95%
30ヶ月〜35ヶ月 掛金総額×85%×95%
36ヶ月〜39ヶ月 掛金総額×90%×95%
40ヶ月以上 掛金総額×95%×95%
掛金総額が800万円の場合 800万円×100%×95%
(760万円)

貸付額 30万円以上(5万円単位)

貸付金の使途 事業資金(運転・設備)

返済期間 1年

返済方法 期限一括償還
 なお、返済期日までに一時貸付金の返済がないと、年14.6%の違約金が課せられます。さらに、返済期日から5ヶ月を経過しても返済がないときは、掛金が取り崩されます。

貸付利率 一時貸付金の貸付利率は金融情勢に応じて変動します。利息は一時貸付金の貸付けの際に、一括で前払いとなります。
 なお、平成23年4月1日以降に中小機構が受け付けた一時貸付金の請求については、「年0.9%」となっています。
担保・保証人 無担保・無保証人


 友人Hの場合なら、150万円前後の融資が受けられるので、ありがたいが、本当に困っている人にはどうだろう。
 「機構解約の場合に支払われる解約手当金の95%の範囲内」というのは、少なすぎないか。
 昔聞いた話では、金融機関では、「消費税積立預金」をやっていて、掛金の何倍かを貸してくれるというところがあった。
 まじめにこつこつと掛金を掛けている人であれば、たとえ共済法の趣旨が「倒産の危機」に重点が置かれているとしても、金融機関のようにせめて1.5〜2倍くらいは貸してあげてもいいのではないかと、友人Hのお陰で、思わぬところで勉強できたことに感謝しつつ、制度に疑問を感じた1日になった。