企業の在り方(3)

 株式会社(中小企業)の決算書を見て、疑問に思うことがもう一つある。
 これは、赤字の株式会社ではなく、黒字の株式会社のこと。
 黒字額が多額なのに、配当を一切していない株式会社である。

 株式会社は、本来、配当を目的に設立されたものである。

 ウィキペディア(フリー百科事典)によれば、株式会社の歴史には、次のように書かれている。

 16世紀から17世紀の大航海時代、ヨーロッパでは、共同資本により、貿易や植民地経営のための大規模な企業が設立されるようになった。イギリスのレヴァント会社やイギリス東インド会社(1600年設立)である。もっとも、初期の貿易会社は、航海の都度出資を募り、航海が終わる度に配当・清算を行い、終了する事業であった。


 つまり、株主に配当し、そして、財産の清算をし(従業員に相応の給与を払う)、終了するのが本来の姿なのだと。
 とはいっても、現代では、継続企業(ゴーイングコンサーン【going concern】)として、次年度以降に必要な資本を準備しておかなければいけないのも事実である。


 黒字の株式会社が、適正に利益を配当、配分しないのは、中小の株式会社だけではないらしい。
 経済産業省をお辞めになった古賀茂明さんの著書「官僚の責任」にも、次のようなくだりがある。

 『某大手自動車メーカーが国を滅ぼす?』
 政界屈指の優良企業に数えられる、日本を代表する大手自動車メーカーの経営手腕を称賛する声は多い。だが、はたしてそれは称賛に値するものなのだろうか。僭越ながら私は、以前からこの大企業のやり方は日本経済にとってプラスとは思えないでいる。
 そのメーカーはたしかに儲かっている。大きな利益をあげている。しかし、儲かっているのはそのメーカーだけなのである。
 これは、私が中小企業庁に在籍していたときのことだが、その自動車メーカーに「トランスミッションのある部品の数割を納めている」という部品メーカーの経営者と話をする機会があった。それだけのシェアがあるのだから、さぞや儲かっているのではないかと訊ねると、「たいして儲かりません」という。
 「毎年、コストダウンと製品の改良を迫られるので、安定はしていますが、利益はカスカス。ほとんど出ません」
 協力会社と呼ばれる下請け業者はちっとも儲かっていない。はっきり言えば、その企業が莫大な利益をあげられるのは、本来は下請けが得るべき利益まで吸い上げて独り占めしている結果と言ってもいいのだ。

 大企業がそういう状態なら、中小企業が適切に利益を配分しないのは、当然と言えば当然かもしれない。
 と、日本の企業に諦めを抱いていたところ、そうでない企業があることをテレビで知った。
 会社に利益を残さず値下げで還元、人事破壊を実践した21世紀の会社、広島市にある株式会社21(トゥーワン)。
 内部留保をせずに、従業員に対する給与還元、商品値下げで消費者に還元している。
 そして、何より優れてると思ったのは、情報公開の量。

 健全な資本主義社会と健全な経済を維持してために必要なことは、企業のあり方が問われているのだと、unizouは思っている。
 そして、中小企業診断士になれたら、一時の栄華でなく、持続可能な経営のため、経営者の方には襟を正してもらいながら、最後は感謝されるようなそんな仕事をしていきたいと思っている。