コンサルタント

 世の中には非常に便利な名称があって、意外とその名称に騙されている人が多いような気がする。
 例えば「・・・コンサルタント」。
 特に資格を有しているわけでもないのに、「・・・コンサルタント」というと、その道のプロという気がしてならない。だから、ついうっかり頼ってしまう気になる。
 中小企業診断士の業務の範囲で言うと、「経営コンサルタント」なる名称を引っさげて中小企業に出入する輩。
 実はunizou、最近その経営コンサルタントなるもののいい加減さを伝え聞いたのである。
 先日の11月11日に、「中小企業診断士からみた公租公課と私債権」と題して、公租公課を支払わずに市場で競争に参加している企業と、「税金や社会保険料などの公租公課の支払いと金融機関などからの借入金の返済は、みんな同列に考えている」というその企業の再生に携わっている中小企業診断士の話を友人から聞いたことを書いた。
 しかし、あとで友人から聞いた話によると、中小企業診断士の資格を持っていると思っていたその人物は、単なる経営コンサルタントであって、税理士でも弁護士でも公認会計士でも、そして中小企業診断士でもなかったというのだ。そして、その友人が言うには、その経営コンサルタントは、経営コンサルタント会社に勤めている、銀行をやめたただの人だったそうである。
 あれだけ、「中小企業診断士からみた公租公課と私債権」について、コメントをいただいたのに、中小企業診断士の人たちに迷惑な話だし、名誉を傷つけたと思う。
 さらに、友人から聞いた話によると、友人が再生に当たって、中小企業再生支援協議会」が公正中立な公的機関で、無料できめ細かい経営相談、再生支援を行なってくれると伝えたところ、その経営コンサルタント氏は、「銀行時代の友人が入っているので、よく知っているが、自分が作った経営改善計画を持っていってみてもらえば、それでOKですよ」と言い始めたそうだ。
 それも、その経営改善計画は経営を軌道修正するのに10年以上かかる代物だったそうである。
 中小企業再生支援協議会のパンフレットによると、窓口相談で「再生計画を作成して金融機関と調整する必要がある」と協議会が判断すると、専門家(中小企業診断士、弁護士、公認会計士、税理士等)からなる「個別支援チーム」を結成し、具体的な再生計画の策定を支援し、必要に応じて関係金融機関との調整を行なうという。
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/leaflet/leaflet2007/04saisei.pdf
 また、その手法は、債務免除の実施やファンドの活用、金融機関、取引先からの借入金の株式化や金融機関による借入金の資本的劣後ローンの導入など様々であるという。
 しかし、その経営コンサルタント氏は、金融機関に対する債務は、支払いを多少伸ばしてもらっても、それ以上のことはしないことを前提にしているし、資本の増強につても「親戚知人から借入れしている状況で、誰がこれ以上スポンサーになってくれますか?」といった態度だったそうである。
 友人は、その企業の社長に向かって、「あなたの会社はここ数年の状況が非常に良いので、騙されたと思っていってみてはいかがですか?」と中小企業再生支援協議会へ行くことを勧めたそうである。その結果はまだ聞いていないが、そのうち友人に尋ねてみようと思っている。