ワイン格付け訴訟

 今年も「ボージョレ・ヌーボー」の解禁日を迎えた。
 Unziouも解禁日の15日夜に早速頂き、今年も例年にたがわず、仕上がりが良く、フルーティーで飲みやすかった。
 この時期にしか飲めない稀少性と手ごろな価格で楽しめると言ったところ、そして世界に先駆けて日本から解禁が始まることが変わらぬ人気の秘訣だろう。
 ところで、そのワインの本場フランスである訴訟が係属していた。
 それは、2006年に高級赤ワイン産地、ボルドー地区のサンテミリオン町で起こった、格付けが一時的に留保されていた問題。
 このほど、フランスの最高行政裁判所は留保に法的な正当性がないとする判決を下した。
 この問題は、格付けから外されたシャトーが決定過程に疑問を示して格付け無効を訴えたのに対し、ボルドー行政控訴院が格付けを定めた政令の留保を言い渡していた。
 パリの最高行政裁判所は、グランクリュ・クラッセ(特級)の格付けから外れたシャトー・ラ・トゥール・デュ・ピン・フィジャック、シャトー・カデ・ボン、シャトー・ド・ラ・マルゼル、シャトー・グアデの訴えは、格付け全体の正当性に疑問をもたらすものではないとの判断を示した。これで、3月から7か月以上にわたり格付けが不在で、10年ごとに見直される格付けで認められた61シャトーがその名称を使えないという事態は解消された。
 確かに格付けはシャトーにおいては、ブランドや名声に貢献し、引いては売上に直結する重要な事柄ゆえ、特級から外されてしまったことについて無効の訴えを提訴するに値するだろう。
 結果として、格付けの正当性が認められたかたちで終わってしまったことから、今後はその外れた原因究明がシャトーの名声回復の近道となるだろう。