中小企業診断士からみた公租公課と私債権

 先日、ある友人からこんな話を聞いた。
 「先日、仕事の関係で中小企業の再生に携わっている中小企業診断士に会うことがあって、再生についての話を聞く機会があったんだ。そのとき、その中小企業診断士は、『再生の難しいところは、経費削減(人員整理)と債務の繰り延べが一番難しい仕事だ』と言っていたよ」という。
 さらに、続けて友人は、「その中小企業診断士は、こうも言っていたよ。『税金や社会保険料などの公租公課の支払いと金融機関などからの借入金の返済は、みんな同列に考えている』と。unziou、これってどう思う?」と。
 この『税金や社会保険料などの公租公課の支払いと金融機関などからの借入金の返済は、みんな同列に考えている』というところに、unizouは何だか引っかかってしまった。
 それで、本当に中小企業診断士の役割が全うできるのだろうか?
 まず、公租公課を支払っていないような企業には、行政から補助金ももらえなければ、制度融資も受けられない。だいたい、世間からの信用だって得られないだろう。知られていないからいいようなもので、公租公課を滞納しているような企業の再生を認めるのだろうか・・・?
 もっと言えば、公租公課を滞納している企業が市場に残っていていいのだろうか?
 unizouの基本スタンスはこうだ。
 公租公課は相手を選ばず、誰にでも公平な負担となっているはずだ。
 だから、もし、それを支払っていない企業や個人であれば、アドバンテージをもらっていることになる。 もちろん、最後には払わなければいけないから、それでいいだろうということになるかもしれないが、競争市場に参入している以上、大多数の他の企業や個人がどんな状況であれ一生懸命義務を果たしているのであるから、当然に義務を果たすべきなのだと・・・。そして、結果的に、そういった企業や個人が競争市場で生き残ってしまえば、行政がそういった企業に加担していることにならないか。
 他の企業や個人から、こんな声が上がらないかと・・・。
 「うちも苦しいけど、公租公課は義務だからね。ちゃんと払ってやっていかないと・・・。でも、公租公課を払わずにいる企業や個人が、単価を安くして競争市場に参加していると思うと、ちゃんと行政はやってよって思うよ」
 これは、最終的に撤退戦略にも関わってくる。
 金融機関などの私債権者が、公租公課を滞納している企業や個人の状況を見ずにどんどん貸していく。本当だったら、3000万円の負債で止めればいいところを、5000万、1億円、3億円と負債が増えていく。
 そして、最初に話題に出た中小企業診断士の言葉・・・?
 公租公課を払えずにいる企業や個人は、一旦市場から退場してもらうべきなのだ。
 支援してくれる人や企業がいてくれるなら、そういった人や企業が「返済の猶予をする」、「資金を支援する」ということをすべきで、まず、先に公租公課をきっちり清算し、それから市場に参加できるというようにしないと、何よりも真面目に真剣に、物やサービスで勝負している他の企業や個人の足を引っ張ることになるはずだ。
 だから、クライアントのことだけを考えるのでなく、そのクライアントが社会的に見て生き残る必要があるのかどうかということを判断することが、まず、第一の難関であるような気がしている。それらが整理できて再生が可能な企業や個人であれば、あとの人員整理を含む経費削減、債務の繰り延べなど、人としての誠意を尽くして、努力して、理解してもらうしかないというのが、unizouは基本スタンスだと考えている。