理不尽な死

 ここのところ、事件・事故に巻き込まれ、理不尽すぐる死を迎えた人のニュースが相次いでいる。
 一つは、東京都豊島区の路上で6日の午後、デパート「池袋パルコ」屋上から飛び降り自殺を図った女性(25)が下を歩いていた男性を直撃した事故。
 巻き込まれた千葉県松戸市新松戸、会社員、池田長武さん(38)が10日早朝、搬送先の病院で死亡したそうだ。
 池田さんは事故に巻き込まれ、顔の骨を複雑骨折するなどして意識不明の状態となっていたのだが、帰らぬひととなってしまった。
 当日、池田さんは会社が休みで、私用で池袋に来ていたという。
 もう一つは、佐賀県武雄市の医院で8日起きた入院患者射殺事件。
 8日午前7時40分ごろ、佐賀県武雄市朝日町の篠田整形外科の2階病室で、入院中の同市山内町に住む板金工場経営・宮元洋さん(34)が男に拳銃で撃たれ、間もなく死亡した。 
 死因は動脈損傷による失血死。
 犯人の男は車で逃走したが、宮元さんの周辺に個人的トラブルが見あたらず、同病院には以前、暴力団関係者が入院していたとの情報から、人違いの可能性が強いという。
 発砲当時、1階の待合室では、約15人が外来の診療開始を待っていたそうだ。
 男は院内に入ってから出るまで3分しかかかっておらず、県警は男が下見に来ていたとみている。
 あの世という世界があるのなら、お二人とも、どうして自分が亡くなってしまったか、そして、どうして今この世ではなくあの世にいるのか、まったく分からない状況であろう。
 運命という言葉で片付けるには、あまり無念すぎる死である。
 理不尽な死が、相手側の自分勝手な理由で引き起こされたことには、憤りを覚えずにはいられない。
 ご遺族のことを考えると、この現実を受け止められるか心配だ。
 ご冥福を心からお祈りする。