正倉院展

 本試験を終えた翌週末、仏像好きのunizouは早速奈良にいた。
 「文化の日」周辺の京都・奈良は秋の秘仏公開ラッシュ!
 27日からは秋の大目玉、正倉院展がスタート、今年で59回目を数える(http://www.narahaku.go.jp/exhib/2007toku/shosoin/shosoin-1.htm)。
 早速28日の日曜日、奈良国立博物館に足を運んだ。
 到着したのは午前10時、既に入場までに45分待ちのプラカード、全国から年に一度のこのイベントにファンが殺到するのだ。
 今年は、HPにも記載されていたように、特に絵画を表した宝物や文様(もんよう)表現の優れた宝物が多く出陳されていた。施されている文様は、現代にも十分通じるおしゃれさだ。
 楽しみにしていた「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)」、柄香炉とは、僧侶が法会の時などに、手に持って焼香に用いるための香炉。炉内には固まった灰が残っているというから、当時本当に使っていた様子がうかがえた。青色ガラスがうめこまれ、花や鳥がちりばめられた透し彫りが見事な作品だった。
 「高床式」、「校倉造り」といった特徴をもつ正倉院は、8世紀の半ばに造られ、以後9000点以上の宝物を1200年以上もの長い間、風雨や動物から守ってきた。個々の宝物は、スギの木でできた箱に密閉されて保管されていたため、湿度の変化を受けることなかったという。800年が寿命とされる絹製品だって現存するのだ。
 今でこそ、正倉院宝物の多くは、正倉院ではなく、1962年に建てられた鉄筋コンクリート造りの西宝庫に納められ、空調装置のもとで管理されているが。
 毎年この時期に正倉院展が開催されるのは、古来行われていた曝涼(ばくりょう)=虫干しの伝統に則る。正倉院宝庫は、勅封(宝庫の扉は鍵ではなく、天皇の直筆で和紙に書かれた「勅封」と縄で結ばれて閉じられている。)によって厳重に守られているのだか、毎年、曝涼のため秋に開封されるため、正倉院展はこの期間に合わせて行い毎年70点の宝物を出陳するのだ。
 1200年前の書物が眼前にあるという何とも不思議で貴重な機会を堪能した1日であった。