経営責任の取り方

 友人から最近こんな会社の話を聞いた。
 友人が関わる地方のある企業は、最近の業況はまあまあだったが、バブル期の負債を多額に抱えていた。
 ただし、その負債は金融機関や取引先には律儀に返していてそんな多額の金額ではなかったが、国税(源泉所得税・消費税)や地方税、そして社会保険料の滞納が数億円だったそうである。
数億円も残してしまった会社も悪いが、そこまでなるまで徴収しなかった行政の怠慢はなんとも言い難い。
 unizouが考えるに、国税(源泉所得税・消費税)、地方税社会保険料を運転資金に廻しながら、十年以上もやりくりしてきたということだと思う。
 これでは、国税(源泉所得税・消費税)、地方税社会保険料を払わない企業は、ハンディキャップをもらって資本主義社会の競争に参加していることになる。
 まともに納税をして参加している会社にとっては、何とも馬鹿らしい話だし、消費税を預けている消費者や源泉所得税社会保険料を預けている従業員にとっても迷惑な話だ。
 ところが話はそれだけでは終わらない。
 その会社は、滞納している国税(源泉所得税・消費税)、地方税社会保険料を負担することに嫌気が差し、第二会社を設立し取引を徐々に移してしまい、資産も処分してしまって廃業するというのである。
 つまり、国税(源泉所得税・消費税)、地方税社会保険料を徴収することが難しい財産状況になってしまったという。
 最初にも書いたが、こんな状況にしてしまった行政の怠慢が一番の原因であり、それで迷惑を受けるのも行政だと思う。
 だが、本当に迷惑を被っているのは、こんな企業と競争している他社である。
 経営は時の運も大いに関係する。努力して、懸命に需要を予測してやり始めた仕事でもそううまくいかないことなどざらであろう。その場合は、撤退する勇気も重要である。
 だから、経営者をただ単に責めればいいという話ではない。
 しかし、こんな企業や経営者が生き残っていい話ではない。
 一旦は、きちんと責任を取って退場すべきなのである。そして、自分の力で復活すればいい。
 そういった方法を取らずに安易な処理をすることは、まともに経営をやって消費者のために努力している経営者をも駆逐する。まさに「悪貨は良貨を駆逐する」のことわざのとおりである。
 そして、なによりもこんな安易な処理をした会社は、生きるため、従業員のためと勝手な理論で自分たち経営者の責任を放棄し、きっと経営の何たるかをわからずに同じことを繰り返し、同じ憂き目に会うことになるのである。
 きちんとした経営責任を取ることで、本当のリセットができ、リバースされるということを知るべきなのだというのがunizouの持論である。
 こういったことやり方を指南する税理士がいるという話も聞いたことがあるが、もしそうだとしたら、税理士の職務を最初から最後まで放棄しているどうしようもない税理士である。