商品の競争力で勝負するマインド
9日付朝日新聞に、アジアの税金事情について、税の取立てに先進技術を導入した韓国とインドの実情が紹介されていた。
その記事の中で興味を引いたのが、韓国の電子申告のこと。
日本でも、昨年あたりから電子政府の推進の一環として、国税庁が電子申告を協力に推し進めている。unizouも、住基カードや電子申告の開始届出、そしてカードリーダーの取得など電子申告できる態勢は整えたが、申告する理由がいまのところないので、スタンバイ状態のままである。きっと、サラリーマン諸氏は同様であると思う。ただ、今年の所得にかかる申告分を電子申告で申告すれば5,000円の税額控除がされることになったそうなので、住宅取得や多額の医療費の支払いなどの理由で還付申告をする人は是非利用されるといいと思う。費用は、住基カードの取得に自治体によっても違うがおよそ1000円、カードリーダーが2000円くらい、合計3000円だが、カードリーダーを人から借りれば、4000円のお釣りがきて、お得なはずだ。
韓国では、そんな電子申告をかなり強力に推進しているという。税額控除など電子申告をすることによる特典も大きく、電子申告している納税者数もかなり多くなっているという。
朝日新聞の記事を読むと、そんな電子申告のことで韓国と日本で違うのが、現金領収書のこと。
韓国では、消費者が買い物する際、店に国税庁が発行する現金領収証カードを渡すか、住民登録証や 携帯番号を店に告げると現金領収証書を出してくれる。そのデータは、国税庁のシステムに送られ、店側が後で帳簿操作を行うことは難しくなり、ガラス張りの現金取引が実現する。
昨年から試験運用し、今年7月から小売店に加盟を義務化した。目的は、「小売店による脱税の防止」だそうだ。
そして、消費者は、現金領収書の発行を求めることで、年末調整で年500万ウォン(約63万円)の控除を受けられるというメリットがあるという。
また、店側は領収書の発行を断ると罰金として買い物金額の5%の加算税が課されるという。今では、加盟義務が課される店舗のうち9割以上がシステムに参加しているそうだ。
実は、興味を持ったのはその先の記事。
ソウルで40年以上「干しスケトウダラ汁」店の2代目の話し。
「正直言えば、たくさん払うのは嫌。だけど店の経営は透明になり、国の税源管理もしっかりする。税金をごまかして金もうけする時代は終わり、商品の競争力で勝負するマインドに変わらないと」
記事を書いた記者は、「新しい試みは、老舗を仕切る若だんなのやるきにも火をつけたようだ」と結んでいる。
決算書をつくるということは、こういうことから始まっていると思う。日本でも、思い切ってこういった制度に変えていかないと、正直者が馬鹿を見る社会で、尊敬も自立もない国になって朽ち果てていくしかないかもしれない。