常識からの撤退

 1年365日、24時間休まず営業は、まさにコンビニエンスストアの代名詞。
 その代名詞を見直そうとするコンビニが現れた。
 ローソンが、コンビニエンスストアの24時間営業体制を見直すというのだ(http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/index.cfm?i=2007080300180b6)。
 全国に約8500店ある店舗のうち、採算性が低い店の営業時間を短縮し、売り場面積も縮小する。
 デパート、ショッピングセンター(SC)、スーパーなど軒並み営業時間を延長し、24時間営業としては、生鮮食品まで扱う99円ショップが急成長を見せている。
 そんな中、地方で売り上げ低迷を理由に閉店する店舗経営者(オーナー)が増えている。
 そこで、地方店舗の採算を改善し、店舗網を維持するため、大手コンビニで初めて24時間営業の原則を変更することを決めた。
 現在、全国約8500店の98.5%が24時間営業しているが、営業時間短縮と売場面積縮小の見直しの具体的対象となるのは、他のコンビニやスーパーとの競合が激しく、単独での存続が難しくなり閉店を検討している既存店で、近隣のローソン店のオーナーがこうした店の運営を引き継ぎ、人件費などを圧縮して経営効率を高めていく。
 また、店舗面積を半分に縮小することで生まれる半分の空きスペースにはクリーニング店などのテナントを導入し、収入を見込む。
 オーナーの高齢化も営業時間短縮の一因である。
 1975年の設立当初は、加盟店のオーナーの平均年齢は30〜40代であったが、現在では平均年齢は50歳代となり、高齢を理由に閉店を希望するオーナーも増えているという。
 新浪剛史社長は平成16年から「安心感や便利さなどで夜型社会に貢献してきたが、都会も地方も一律で24時間営業にする必要があるか改めて考えたい」と述べており、深夜営業見直しの構想を練ってきた。
 また、当時の社長インタビューでは、夜型社会への貢献の一方で「深夜にたまり場になり、若者に悪影響をおよぼす」という批判を考慮する面もあるとも述べている。
 今回のローソンの発表は、コンビニ業界の利便性・効率化の追求という過酷な競争に「今一度考えよう」という一石を投じた形となった。
 勇気ある撤退がどう結果として現れるか、注目したい。