相続

 昨日のブログで、事業承継について書いた。
 事業承継も、親からの相続といったもの。
 そこで、事業承継同様、相続について考えてきたことを書いてみようと思う。
 もちろん、unizouは親から受け継いだ物は体だけで、土地も金もなかった。
 だから、自分のことではなく、仕事として関わってきた事例で得た知識や経験について書いてみようと思う。
 世の中には、考えていた以上に親が一生懸命働いた収入で得た資産、あるいは先祖代々の土地などを貸した不動産収入で生活している人も結構いるというのを、今までの人生で経験してきた。
 ところが、さっき言ったようにunizouには無縁な世界で相続がプレシャーになるようなこともないが、そういった人たちはそういった人なりに相続した物を守らなければいけないというプレッシャーの中で生きているようだ。
 いっそ、それぞれ個人が一生かけて作り上げたものを死とともに最低限度の資産で清算する(リセットする)といった仕組みに変えていったほうが、相続する側の人間にとっても楽なのではないかと思う気持にもなるくらいである。
 昨日の事業承継同様に親には「種の保存」の本能が働くのか、子どもたちには少しでも多くの財産を継いであげたいと思うようである。
 では、実際、どんな風にできるだけ多くの財産を相続させようとしているか。
 「そう思っているだけで、死んだ後のことを具体的には何もしていない」というのが多いというのが実態なのである。
 さらに悪いことには、親が何も決めていなかったせいで、相続について兄弟で争うケースもかなりあるということなのだ。
 血を分けた兄弟が争うことほど悲しいことはないのだが、それがいとも簡単に争ってしまう。
 そして、せっかく親や先祖代々築かれた財産は、失われていく。
 相続した財産の管理の面では、親から相続した土地を低額な地代(明治や昭和の初めのころの地代 坪数十円といったところ)で貸しているケースもあった。これでは、固定資産税も払えないではないかといったケースも。
 相続した財産を守り抜くということは、本当に大変なことなのだ。
 あるとき融資の相談に来た男性は、親がある男性に騙されて持っていた資産を担保に融資を受けていた。それを返済するお金をその男性からもらえないまま親が死亡した。
 男性は仕事の忙しさにかまけて、そういった事態も知らずにいた。そして、死亡した後も相続財産がどのような状態にあるか、つまり、既に債務超過の状態にあったにもかかわらず、相続の放棄をしていなかったのだ。そして、自分が稼いだお金や資産も含めて、その借金を支払わなければならない運命となった。こうなると何ももらわないほうがいいくらいである。さっき言ったように清算する(リセット)するほうが、どのくらいその男性にとって気が楽だっただろうか。
親の務めとしては、死んだあとのやりようを子に伝えることは、死ぬ前から大事である。いつ死ぬかは誰にもわからないのだから・・・。
 そして、子も、今のような制度であるのであれば、不謹慎なことだと思わずに、きちんと親の死後のことを考えておくのも大切なことである。
 それが、真の親子のありようなのかもしれないと、最近そう思っている。