観光立国と診断士

 先日の読売新聞に、「国土交通省が、観光産業の振興策を手がける「観光庁」を来年度に創設する方針を決め、2008年度の組織・定員要求を財務省などに求めるなど、「観光立国」の実現へ向けて体制を強化し、外国人観光客の誘致や、魅力的な観光地を整備する」といった記事が掲載されていた。
 昨年12月には、国会で「観光立国推進基本法」が成立し、2010年までに外国人観光客を1000万人にする「ビジット・ジャパン・キャンペーン」など、観光政策の取り組みが強化されている。
 今までは、国内からの観光客を当てにしていたが、海外からの観光客をあてにしないとやっていけない状況なのだろう。そして、記事にもあったが、日本は外国からの観光客数が主要国・地域に比べて少なく、誘致戦略が出遅れているという危機感が背景にあるということであり、国内観光客の減少を海外からの観光客で補えるといった目算もあるのだと思う。
 財団法人全国生活衛生営業指導センターのホームページには、生活衛生業に関する情報があり、ホテル・旅館営業の情報も含まれている。その中のサイトに経営アドバイス・融資状況があり、業界動向*1が掲載されている。【http://www.seiei.or.jp/advice/doukou/06.html
 2003年の業界動向には、最近の動向と題して、最近の観光レクリエ−ション活動の特徴が掲載されている。
 そこには、

  1. 女性の観光旅行が増加
  2. 見られなくなった男女差
  3. 国内旅行か海外旅行か
  4. 増加する若年層と中高年層の観光旅行
  5. 団体旅行、小グル−プ旅行から家族旅行にシフト

といった見出しが掲げられているのだが、unizouが注目しているのが、5 団体旅行、小グル−プ旅行から家族旅行にシフトといった項目である。

 職場、学校、地域等の団体旅行が減少している半面、家族の同行者があるものが増えている。同行者の種類別 構成比では、「家族同行者有り」が全体の51.8%と過半数を超えている。この傾向は、「余暇時間の活用と旅行に関する世論調査」(総理府広報室、平成11年8月調査)でもうかがえる。国内旅行の同行者は「家族」が最も多く(複数回答)44.2%、2位 が「友人・知人」36.1%、3位「夫婦」22.4%、続いて「職場・仕事関係の人」11.0%、「地域やグル−プの人」9.8%となっている。
  平成3年、6年、11年の調査を通じて割合が増えているのは、「家族」「夫婦」であり、「友人・知人」「職場・仕事関係の人」「地域やグル−プの人」は、前回調査の6年に比べ11年は減少している。特に「職場・仕事関係の人」の減少幅が大きいのが目立っている。

 以前は、unizouの職場でも、ここでいう団体旅行もあったし、友人たちに聞いても同様にあったようである。
 しかし、今では、すっかりなくなってしまったというのがunizouも周りの友人たちに聞いても現実のようである。
 unizouのような観光客側の立場で言えば、それだけで済む話だが、ホテル・旅館営業の人たちはそれでは済まされない。お客が来なければ、経営は成り立たない。
 unizouは、以前、長野県内に勤務していたとき、温泉地のホテル、旅館と関わったことがあったので、どうしても、診断士になれたら関わってみたい業種の一つになっている。
 だから、今では、観光地へ行くと、観光を楽しむということだけでなく、どうしたらお客が来てくれるのかという目で見てしまうことも多い。
 以前関わった衰退しているホテルや旅館の経営者に聞くと、衰退の理由を、官公庁や企業とのつながりによる営業、観光地の目玉を頼りにした殿様営業などで、自力によるそれぞれのホテル・旅館の魅力による営業でなかったことが大きいというようなことを聞いた。お客は呼び込まなくても勝手に来てくれたと言うことなのだろう。
 今回の報道で見られるように、行政が主導して海外からお客を連れてきてくれるのは結構なことだが、結局リピーターになれるかどうかは、そのホテル・旅館のサービス如何だと思う。そして、個々のホテル・旅館の魅力だけでなく、観光地全体としての魅力如何によるともいえる。
 そういえば、最近観光地に行くと、中国語や韓国語を話す観光客に出くわすことが多くなった。団体旅行だけでなく、個人旅行でも、友達同士や若い夫婦、家族などの少人数の旅行などに出くわす。
 最近unizouが旅行した函館では、函館朝市のどんぶり横丁で隣に韓国からと思われる若いカップルが食事をしていたし、函館の町ですれ違う観光客の中にも中国語や韓国語が飛び交っている人たちがたくさんいた。
  そういった人たちが、リピーターになってくれるように、是非、ホテル・旅館営業に関わる人たちには頑張ってほしいものだ。

*1:財団法人全国生活衛生営業指導センターのホームページの業界動向は、ホテル・旅館営業しか見ていないが、その分析や問題点の抽出、対応策など、診断士の業務にも参考になることが多い。