排出量取引

 温室効果ガスを削減するため、ついに日本においても、国内排出量取引制度の導入の可否が本格的に検討されることになったと4日の読売新聞朝刊が報じていた(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070804i3w1.htm)。
 経済界の反発が強い中、導入済みの欧州連合(EU)に続き、米国などでも導入見通しが強まっているとする環境省などの分析結果が報告され、「世界の潮流に乗り遅れるわけにはいかない」と実現に向けた取り組みがなされる。
 2005年に導入されたEUの制度は、エネルギーを大量に使う発電所や製鉄会社が対象で、加盟国政府は、各社に排出できる温室効果ガスの枠を割り当て、各社は実際の排出量を政府に報告し、枠を超えて排出した企業は、排出量取引市場で排出枠を購入して義務を果たさなくてはならない。
 環境省などが想定する国内排出量取引も、政府が企業に排出枠を割り当て、枠を使い切った企業が、まだ余裕のある企業から枠を購入する仕組みで、排出枠に価格をつけることで、企業の削減努力を促すのが目的。
 日本経団連が反発する理由は、①排出枠の割り当てに不公平が生じる、②行政が排出枠を設定するのは官僚統制であることなどで、あくまで業界の自主的な削減を主張している。
 今後、日本を除く主要国が国内排出量取引を導入した場合、将来は金融市場のように、各国企業が排出枠を取引する「国際炭素市場」が誕生する可能性もあり、日本が国際的に孤立する恐れがあるという。
 経済産業省も、大企業が資金や技術面で中小企業を支援して温室効果ガスを削減した場合に、削減分を排出権として大企業が獲得できるといった「温室効果ガス削減を支援する制度」づくりに着手したという(http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070801ib25.htm)。
 排出権という新たな財産権の出現を楽しみに待つunizouである。