Forgettingとforgiveness

 Forgettingとforgiveness。
 この言葉、NHK総合で日曜日のお昼に放送されている「のど自慢」で、ずいぶん以前になるが出場者の方が言われた言葉なのだが、「なんと味わい深い言葉だ」と、ずっと心に留めていたものである。
 そのときの「のど自慢」は、多分、ロサンゼルスで行われたものだったように記憶している。
 ある年配のアメリカ人女性が(その方はたいそう品のある方)、自慢ののどを披露したあとで、「結婚生活が50年に近い(あるいはそれ以上の方だったかも知れない)」といったことを司会者と話していたように思う。
 そして、司会者が、「結婚生活が長く続く秘訣は、何ですか?」と聞いたとき、彼女の口から返ってきた言葉が「Forgettingとforgiveness」という言葉だったのだ。
 この言葉について、今でもそう感じるのだが、unizouはまさしく「神の言葉ではないか」と思うのである。
 彼女が聞かれた、「結婚生活を長く続ける秘訣」ということだけでなく、人と付き合う上で、人生を豊かに生きるための秘訣として大事な言葉であると・・・。
 実は、数週間前にある後輩からこんな電話が来た。

 残念なことに、昨日、今日休んでしまいました。
 新しくペアを組んだSさんと、仕事の関係でしっくりこないんです。
 もともと、軽うつ症状があるので、なんとか今日こそ元気に行こうと焦って、昨夜は深く眠ろうとして、医師の指示以上の睡眠導入剤を飲んでしまって、朝から様子がおかしくて、出勤できなかったのです。
 とりあえず母に事情を話して睡眠薬を全て渡したのですが、こんな簡単な自己管理すら出来ない状況では、飲んだくれの二日酔いと同じだと反省しました。どうしたらいいのでしょう。
 最近ダラダラ仕事をしているような感じがしたり、元気さがない自分をどうしたら良いものかと焦り、仕事も雑でイマイチだったような気がします。
 これからは、自分で前向きな気持ちを持って生きていく以外、当てにしてはいけないという傲慢さがあったのかもしれません。
 今日の一日は非常に無念でしたが、反省して明日から良い疲れを得られればいいなと思っています。

 彼は、もともと、精神的に苦痛な日々を送ったあと仕事に復帰し順調に毎日を送っていたのだが、最近、新しいパートナーS君と組むことになり、慣れない環境となり悩んでいるようなのである。
 そのとき、unizouの電話での返事。
 「そんなことでどうするの。誰だって好きな相手と一緒に仕事ができるわけではないよ。相手とのことより、仕事にベクトルを向けてがんばりなさい」と・・・。
 そして、あとから、メールを送ることにした。

 おはようございます。
 いつも朝早くてゴメンナサイ。
 昨日の電話、ありがとう。
 でもできれば、苦しくなる前に電話して、原因も話してください。必ず原因があるはずですから。
 それを解決しないと、絶対に前に進みませんよ。
 さて、今回の件ですが、原因はともかくとして、K君の生き方を考えなければならないと思います。
 というのは、人には必ず「無くて七癖あって四十八癖(なくてななくせあってしじゅうはっくせ) 多かれ少なかれ人には癖がある。」というくらい癖があります。
 K君にだって当然あるし、周りの人にもあります。
 それを、自分自身、他人から見た場合、「いいと思うか、悪いと思うか」は人それぞれです。
 しかし、職場で一緒になった人に、だから「嫌です。一緒に働けません。」とは、言えません。
 だって、仕事を通じて、収入を得て、自己実現をし、社会に貢献しているのですから。
 K君は、マズローの五段階欲求説を大学時代に習ったことがありますか?
 心理学者のA.H.マズロー(A.H.Maslow)が提唱した人間の欲求についての理論。マズローによると、人間の欲求は5つの階層で説明ができ、ある階層のレベルの欲求を満たすと、1段階上の欲求に駆られる、とする。階層の底辺から、『生理的欲求』『安全に対する欲求』『愛情の欲求』『尊重の欲求』『自己実現の欲求』の順となる。
1.『生理的欲求』:食欲,睡眠欲など生きるうえで必要不可欠となる欲求
2.『安全に対する欲求』:危機回避や健康維持など、未来に対しての不安から自分の身を守りたいという欲求
3.『愛情の欲求』:人から良く思われたい,嫌われたくないなど、集団に対する帰属感を含んだ欲求
4.『尊重の欲求』:社会的ステータスを築きたい,人から認められたいという欲求。 *高所得者が複数台の車を所有する,人が自分を良く見せる目的で服装をブランド品で固める行為などがこれに該当
5.『自己実現の欲求』:「自分はこうでありたい」という、自らを為すことへの欲求。 *この欲求を満たしている人は稀であるとされる。
 K君は、まだ2、3のレベルでしょうか?
 早く自分の持っている能力を活かしていくことを考えるようにするべきです。
 そのためには、人と付き合っていく上で大事なことがあります。
Forgettingと Forgiveness、つまり忘れることと許すことです。
 これは、これから結婚するK君にとって、長い夫婦生活を送って行く上でも、大事なことです。
 そして、これができないと、結果的に自分を苦しめることになります。
 自分自身を救うためにも、自分に対しても周りの人間に対しても寛容になるべきです。
 K君が自分の能力を活かし、社会に貢献できる喜びを感じ、毎日が送れるように期待しています。
持っている能力は十分です。あとは、自分の考え、生き方しだいです。
 仕事をよりよくするために、自分の意見を伝え、相手の意見に耳を傾け、協調してやっていく姿勢を身につけてください。
 期待しています。それからちょっと違和感を感じると思ったら、必ず原因があります。電話を早めにください。そして原因を話してみてください。話せばすっきりすることがありますから・・・。

 「unizouのメールのお陰?」、その後ほどなくして元気を取り戻し、毎日元気に仕事をしていると聞いた。