危機管理

 会社に危機管理の専門家を招き、幹部から比較的若い社員までが話を聞いた。
 企業の危機管理(リスクマネジメント)という言葉自体は、一般にすっかり定着してきたように思うが、社員ひとりひとりがきちんと理解しているかということから企画されたものらしい。
 先日の牛肉コロッケ偽装事件や中越沖地震後の柏崎刈羽原発を巡る対応などを例に出しながら解説が始まった(前者は、経営者・社員に帰責性があるが、後者にはない違いがある。)。
 危機管理とは、平時において最悪の事態を想定し危機が発生しないように予知・予防する事前対応(計画・立案・訓練)と、万一、危機が発生した場合に迅速で果断な決断力と強い実行力で対処し、被害を最小限に食い止めることだ。
 Unizouも、かつて豪雨で川が氾濫し1階部分が水没した支店の事後処理に当たった経験がある。この豪雨は全く予測不能の出来事であり、以後、わが社の教訓として、そのときの各グループの処し方を記録し1冊の本にまとめた。
 支店の室内には、大量の汚泥が流れ混み、PC類・機械は当然使用不能になったほか、書類は汚泥につかり原形をとどめず、机イスなどの備品もドロドロという悲惨な状況であった。
 水が引き、原状回復作業が始まったとき、何より先に気遣ったことは、この建物を洗浄し、再び使用した場合の社員への影響だった。
 空気中に含まれる砂塵が人体にどのような悪影響を及ぼすかが未知の世界だったのである。気管支炎など起こしては大変なことだ。
 業務再開は、まず架設事務所でマスク着用で始まった。
 洗浄した建物・備品は、空気測定の専門家に、空気中に飛沫する砂塵の割合を数度にわたって調査してもらい、OKが出てから、ようやく支店で業務を再開した。
 社員の健康診断もこまめに行い、結果として病人は出なかった。
 天災はいつくるか分からない怖さといざ来たら避けられない怖さがあるゆえ、罹災した際、そこからいち早く復興するための処し方を、経験した者だけが知っているのではなく、マニュアル化して情報を共有化する必要性をこのとき痛感した次第である。