後藤新平

 今のご時勢になると、「体の大きさでばかにしている」と言われそうで、使うのが憚られるような気がしないではないが、中国のことわざに「燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」というのがある。(unizou、燕や雀に恨みはない・・・。)
 これは、「小さな人間には、大きな人間の志がわかるはずがない。」といった意味である。ホームページ「みらいポート 歴史の旅路」に、その謂れが詳しい。【http://www.d2.dion.ne.jp/~nob_o/kotowaza/a_enzyaku.html
 unizouなどの器量の小さい人、人徳のない人、小人物といった意味での小人(しょうじん)は、自分の損得ばかりに関心が強く、普段は世間のことなど気にしていないといったように振る舞ってしまう。
 これが、普通に生活している普段なら大した影響もないのだが、地震や洪水など、自然災害に見舞われるとてきめん、しっぺ返しを食ってしまう。
 最近起きた中越沖地震ではそれほど感じないが、平成の大震災の阪神淡路大地震の際には、そういった面が大きく出たのではないかと感じている。そして、これから起きることが高い確率で考えられる関東や東海地震の際には、そのために多数の被災者が出るのではないかとも危惧している。
 というのは、人口密集地で木造と鉄筋の建物が混在している状況で、隣接建物との距離や延焼を防止したり緊急自動車などが出入したりするための道路の幅、避難場所など、被害が大きくなる要素がたくさんあるといったことが今のお寒い現状なのである。
 しかし、そういった原因も、政治にあるというよりunizouを含めた小人(しょうじん)な国民のせいなのである。
 そんなとき思い出すのが、後藤新平である。
 後藤新平を知ったのは、やはり、阪神淡路大地震の後だったと思う。
 そして、先日、読売新聞に、後藤新平の生誕150年を記念した特集展「『後藤新平展―近代日本をデザインした先駆者―』が24日から、東京・墨田区江戸東京博物館で開かれる。」といった記事が掲載された。

 関東大震災後の首都建設など、明治から昭和にかけて大規模な政策を構想した政治家・後藤新平=写真=の生誕150周年を記念した特集展「後藤新平展―近代日本をデザインした先駆者―」が24日から、東京・墨田区江戸東京博物館で開かれる。震災復興時の東京の道路網を検討した図面など計約170点の貴重な資料が一堂に公開され、主催の東京市政調査会は「大きな視点の発想と実現に努めた姿は、現代でも参考になる」と話している。
 後藤は1857年、現在の岩手県生まれ。内務省衛生局勤務時に行政手腕を買われ、台湾総督府民政長官や東京市長を歴任した。
 1923年の関東大震災では、内務相兼帝都復興院総裁として再生を指揮、昭和通り永代橋隅田公園を造るなど現在の都市基盤の基礎を築いた。壮大な構想力から「大風呂敷」ともあだ名されたが、当時の環状道路構想などはその後、実現されている。
 今年創設された「第1回後藤新平賞」を受賞した前台湾総統李登輝氏(84)は、先月の来日時に「今日の台湾は、教育の普及などに努めた後藤が築いた基礎の上にある」と述べた。
 特集展は9月9日まで。一般600円など。問い合わせは同博物館(03・3626・9974)へ。【http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/about/josetsu/tokushu/2007/gotou/0724g.html

 記事には、「後藤新平は『大風呂敷』とあだ名された」とあるが、この後藤新平こそ鴻鵠(こうこく)の人ではないかと思うのである。
 unizouも診断士になれた暁には「まちづくり」に是非携わりたいと常々思っているが、後藤新平のように子々孫々まで災害の被害が最小限に食い止められるようなまちづくりを小人(しょうじん)の志でなく、鴻鵠の志で携りたいと思い、また、市民もそういった身近な損得でない将来の損得を考え行動してもらいたいと思っている。
 ちなみに東京・墨田区江戸東京博物館で行われている「後藤新平展―近代日本をデザインした先駆者―」は平成19年7月24日(火)〜9月9日(日)の期間開催されているということなので、一度足を運んでみようと思っている。