生産統制

 仕事で中小企業の経営者数名からヒアリングを行う機会があった。
 受験生unizouにとっては、願ってもない機会だったので、本題とは別のことも色々聞かせていただいた。
 「右腕」、「後継者問題」は、受験勉強を始めてからよく耳にする言葉となったが、右腕の損失が企業に与えることがいかに大きいか、現場の声を聞いた。 
 その会社は、部品製造会社で、学生時代からの仲間2人で起業した。
 技術肌で、メカに強いほうが工場長として工場の指揮・監督に当たり、折衝にたけているほうが社長に就任し、取引先や銀行との契約・交渉に当たり、まさに二人三脚で仕事に邁進し、会社を育ててきた。
 その工場長が、昨冬急死してしまった。
 入院して二日目に帰らぬ人となってしまったという。
 工場長のご家族はもちろん、友人であり、無二の親友でもあり、同志でもあった社長の無念も相当なものだったそうだ。
 それでも注文があれば、工場を動かし仕事を続けなければならない。
 一回仕事を断ったときの代償の大きさは社長自身が一番分かっている。
 必死に他の従業員と一丸となって工場長の穴を埋めるべく働いたが、売り上げは3分の2になってしまったという。
 いかに中小企業の生産現場にあって、生産計画、工程管理、生産統制を行う人物が重要であるか。
 工場長の後継を育てるには、まだ工場長自身が若く、そんな気持ちにはなれなかったのだろう。
 売上げ減は、半年を過ぎても依然続いているという。
 今後、二次試験の第3問目に取り組む度に、この企業のことを思い出すことだろう。