参議院選挙とこれからの農業

 「弱者切捨てではないか!!!」
 こんな言葉を吐かれれば、「いかにも、正義の味方」のように聞こえる。
 民主党も、あと1週間に迫った参議院選挙の中で、同じようなフレーズ「小規模農家の切り捨て」という言葉で、自民党の農業政策を批判していると、昨日(7月22日付)の読売新聞の社説「農業 市場開放に備え体質強化を競え」にあった。
 本当の弱者を見極めもしないで、「弱者切捨て」といった言葉ほど耳障りのいい言葉はない。
 ついぞ騙されてしまう・・・?
 今の時代、一体、どちらが保守で革新なのか、政党の本質を見極めるのも難しい時代だと感じる。
 そして、もっと複雑にしているのが、立候補者が政党の候補者というよりも、立候補者それぞれの個性のほうが強くて政党政治には程遠い気がしてならないこと。
 実際のところはわからないが、政党と立候補者のねじれもあるという印象も強いのだ。
 マニュフェストを見ても、立候補者レベルの主張とは実際は違っているのではないかという気もする。
 与党の候補者の中にも、野党のマニュフェストに近い主張を候補者がいる一方で、野党の候補者にも与党のマニュフェストに近い主張をしている候補者がいるといったように・・・。
 これでは、比例と選挙区では、政党に入れる票と立候補者の公認や推薦政党が違うケースが多くなるのではないだろうか。そんな印象を抱かせるほどである。
 さて、unizouは、診断士になれたら、農業をきちんとした産業として育てて生きたいと考え、ブログでもそう書いてきた。
 そして、実際そういった努力をしている農業従事者も大勢いるし、その人達がやりがいを持って農業に従事してもらえるような環境づくりをしたいと思っている。
 しかし、民主党など野党の案では、とても、農業をきちんとした産業として育てていくのは難しく、時代に逆行しているのではないかと思ってしまう。
 「自民党の案を『小規模農家の切り捨て』と批判し、農家に一定の所得を補償する政策をそろって公約し、与党側との違いを鮮明にしている」というのだから・・・。
 各党のマニュフェストには、次のように広報されている。

  • 自民党 品目横断的経営安定対策を円滑に実施し、小規模農家も含めた集落営農など地域の実情に応じた多様な担い手の育成に取り組む。農地の保全耕作放棄地の解消に努め、担い手の規模拡大を図る。輸出を促進し、13年までに輸出額1兆円規模を目指す。
  • 公明党 地保全耕作放棄地の解消、農地の集約化を強力に推進する。地産地消、耕畜連携、米粉の消費拡大などを推進する。意欲ある担い手の支援強化のため、品目横断的な直接支払制度を導入する。
  • 民主党農産物の国内生産の維持・拡大と、世界貿易機関WTO)の貿易自由化協議などの促進を両立させる。販売農家に(生産費と市場価格の差額を)直接支払う「戸別所得補償制度」を創設し、農家が安心して農業に取り組めるようにする。総額は1兆円程度とし、米・麦・大豆・雑穀・菜種・飼料作物などが対象。それにより、国内で安全な農産物を供給し、食料自給率を高める。

http://seiji.yahoo.co.jp/specialfeature/sangiin2007/manifesto/bunya/05.html
 自民、公明の両与党は“攻めの農業”を合言葉に、「品目横断的な経営安定対策」の実施に力点を置き、一方、民主党以外の共産党社民党国民新党など他の野党も、民主党と同様な「所得補償制度を提唱している。」という。
 農産物は、今後否応なく市場開放を迫られが、国内農業は国際競争力が弱いのが現状であり、農業政策は喫緊の課題である。
 社説では、民主等など野党に、「農業の生産性を高める具体策を聞いてみたい。この制度で懸念されるのは、今後の市場開放との関係だ。安い外国農産品の流入が進めば、それに連れて国産品の価格も下がる。農家に対する補償費用も拡大し、予算は1兆円では足りなくなるのではないか、との見方もある。民主党は、こうした声に対し、丁寧に説明する必要があろう。」とある。
 「人には魚を与えるより、魚の捕り方を教えてやれ」ということわざがある。
 農業従事者を真に思って、実際何をすればいいのか、きちんと見極めていかなければ、農業に未来はないと、心して参議院選挙に臨みたいと思っている。