レオナルド・ディカプリオ

 年間20本以上映画を鑑賞するuniozuの上半期の一番の秀作は、「ブラッド・ダイヤモンド」だった。
 主演のレオナルド・ディカプリオは、「タイタニック」で脚光を浴びたが、その当時は、俳優としての魅力を全然感じない人だった。
 主演した映画「タイタニック」がそのスケール、「アカデミー賞11部門制覇」、「アメリカ国内のみでの総合興行収入、歴代最高の6億ドル」と大ヒットし、彼自身のハンサムで小悪魔的な顔立ちから人気が出たが、実力のない美貌だけの俳優でいずれ消えていくのではないかと思っていた。
 一方、unizouがディカプリオの対極にいると思っていたのがブラッド・ピットで、その役者としての実力や、出演した映画の内容がディカプリオのものとは比べられないほど、社会性があり、メッセージ性の強いもので、本当に楽しみな俳優だった。
 ところが、レオナルド・ディカプリオは、世間のそういった評価を意識していたのか、「タイタニック」以後、演技力が問われ、社会性のある意欲的な作品に出演しているように思う。
 今回の主演作「ブラッド・ダイヤモンド」も、実際ハードでタフな役柄だった。
 映画の内容は、次のとおり。

 アフリカのシエラレオネ共和国で、反政府軍RUFの襲撃によって家族と引き裂かれたソロモン(フンスー)が、闇ダイヤの採掘場で大粒のピンク・ダイヤを発見する。
 そのダイヤモンドは、元傭兵のダイヤ密売人アーチャー(ディカプリオ)にとっては、その利益で救いのない暗黒大陸から抜け出るための“手段”であり、ソロモン(フンスー)にとっては、引き裂かれた家族を取り戻すための“手段”となる。
 そして、紛争ダイヤモンドの真実を暴こうとするジャーナリストのマディー(コネリー)にとっては、真実を記事にするための動かぬ“証拠”となる。
 アフリカ地域紛争で武器調達の資金源として不法取引される“ブラッド・ダイヤモンド”。そのひとつのダイヤに託された、全く異なる3つの願い。アフリカが現在もなお抱える問題を絶大なリアリティで力強く描いた作品である。

 ディカプリオについては、映画のホームページのキャスト紹介に次のようにある。

 ディカプリオは、南アフリカ育ちのダニーを演じるために、現地独特の英語アクセントを習得。さらに元傭兵たちから貴重な話を聞くことで、彼らの日常を肉体に染み込ませたようで、銃撃アクションなど驚くほどキレのある動きをみせている。一方で、自己のために利用するだけだったソロモンやマディーによって、人間らしさを取り戻すダニーの心理描写を、ディカプリオは抑えた演技でみせ、演技者としてのさらなる成長を示した。 近年、エコロジーを中心に社会問題やチャリティー活動に深く関わる彼に、本作のテーマは強く訴えるものがあったのだろう。「見どころたっぷりのアドベンチャーに、強烈な社会的メッセージが織り込まれたところに惚れ込んだ」とディカプリオは語っている。
http://wwws.warnerbros.co.jp/blooddiamond/main_site/

 今回の作品で、彼はアカデミー賞の最優秀主演男優賞にノミネートされたが、残念ながら前回同様受賞できなかった。
 しかし、彼のように意欲的に取り組んでいれば必ず受賞する機会が訪れるだろう。
 そして、何より「人は、第一印象だけでは理解できない」ということや「自分の評価を変えるのは自分自身だ」ということを、改めて気づかせてくれた。
 「役者になる」という意欲が、彼を役柄同様、タフでハードな生き方をさせているのかもしれない。
 今後の活躍に注目していきたいと思っている。