王者の意地

 ニューヨークでアメリカ独立記念日の4日、恒例のホットドッグ早食い大会が行われた。
 昨年の大会まで目下6連覇中の達人は、なんと日本人。
その名は、小林尊たける)さん、29歳。
 7連覇をかけて勝負に挑んだ。
 ルールは簡単、制限時間の12分間でどれだけホットドッグを食べることができるかを競う。
 ちなみに昨年の小林さんの記録は、53個4分の3。
 結果は、自己最高の63個を平らげたが、世界記録となる66個を食べきった米国大学生ジョーイ・チェスナットさん(23歳)に敗れ、惜しくも7連覇はならなかった
http://www.asahi.com/life/update/0705/TKY200707050044.html)。
 しかし、アメリカに旅立つ前に小林さんを特集していたテレビ番組の中で報じられていたが、今大会前から小林さんはあごの関節を痛めていた上、この3月にお母様を病気で亡くしていたため、モチベーション的に万全とは言いがたく、彼自身も不安を抱えての参戦だったそうだ。
 参戦を決めたのは大会前日の3日、お母様が毎年この大会に小林さんが出場するのを何よりも楽しみにしていたからこそ、元気に戦う姿を天国のお母様に見せたかったという。
 7連覇は逃したが、そのような逆境の中、自己新記録を打ち出した小林さんは文句なしに素晴らしいと思う。
 王者の意地、プライド、プレッシャー、お母様への想いなど色々なものを戦う姿に見せてもらった。
 1916年に始まった大会は、今年で92回目。
 小林さんは、参戦して初の敗北になるが、「来年は絶対に勝ちたい」と雪辱を誓っていた。
 人が逆境に耐えて頑張る姿におおいに励まされた気がした。