キャリアターゲット

 だんだん年を重ねてくると、ポストの数は限りがあるので、同期入社の社員、挙句には後輩にまで「後塵を拝す」ことになる。
 しかし、この「後塵を拝す」というのは、「ポストにつくこと」を職場の生活の中心にしての話であって、やりたい仕事ややりがいのある仕事を中心に考えれば、後塵を拝そうが、拝すまいが本当は関係のない話である。
 ところが、人間は、そう簡単に割り切れない生き物らしい。
 以前から、unizouはブログにunizouの職場がジョブローテーションの多い職場だと書いてきた。
 そのため、「次はどこへ」、「あの人はどこへ」といった目で、異動の時期は大勢の視線が異動する人たちへも異動しない人たちへも集中する。
 そして、夢破れた人?たちは、難破船のように職場を彷徨い、夢かなった人?たちは、欣喜雀躍して毎日を過ごすことになるが、それでも、また、次の年にはざるの目が細かくなって、そこを通り抜けられる人と通り抜けられなかった人に分かれていくことになる。
 所詮ピラミッド組織であれば、頂点に立つものはたった一人しかいない。そこまで、何度もざるをすり抜けて行かなければいけない。
 そんなことを繰り返していると、ポストが一体なんなのか、何のためのものかと思うようになってきて当たり前である。
 そこで、「自分を生かす場所はどこか?仕事は何か?」と考えるようにする。たとえ、初めての仕事であっても、そこに知恵を働かせると、面白くてやりがいのある仕事に変わっていくはずである。
 そして、周りを気にしないようにする。仕事をうまくやることだけを考えて没頭する。
 そういう人が、プライド(誇り)を持って仕事をしていくと、職場は活性化する。
 瑣末な人間関係など、どうでもいいことになる。
 そして、何より大事なのは、若手社員のキャリアターゲットになっていくことである。
 以前にも書いたが、中谷彰宏さんの著書「こんな上司と働きたい」(PHP文庫)の「キャリアターゲットを作る」という項には、次のようにある。

 なぜ、若手社員のやる気が出ないか。それは、キャリアターゲットがいないからです。
 若手社員が、早くああなりたいというターゲットになる社員、それがキャリアターゲットです。
(中略)
 若手社員にとっては、10年後、20年後、会社がどうなっているかということより、10年後、20年後の自分がどうなっているかということのほうが、より切実な問題なのです。上司は、10年後、20年後の自分の姿なのです。
 5年経ったらああなりたい、10年経ったらああなりたいというキャリアターゲットを、どれだけ作ることができるか、その会社が10年後どうあるか、20年後どうあるかという具体的な指標になっていくのです。

 自分が毎日どう生きるかは、その人次第のこと。
 自分の立場を憂い悔やんでいる毎日も、自分の立場に全身全霊を注ぎ創意工夫していく毎日も、同じ1日に変わりはない。
 だとしたら、どちらがより長い目で見て、正しい過ごし方になるだろうか?
 いろいろ考えてみると、無為な毎日を過ごすよりも、有為な毎日を過ごすことがどれだけ大事なことかと思う。
 また、これは負け惜しみでなはなく、頂点に上り詰めたところで、それが幸せかどうかは、他人からみて判断できるものでないことも事実であると思っている。