アージリスの未成熟=成熟理論

 中小企業診断士試験の1次試験「企業経営理論」に出てくる組織論。
 組織論は二次試験にも関連しているので、「広く浅く」というわけにはいかず、「広く深く」となると結構重たいし、カタカナ人名が交錯して学習しにくいところだ。
 しかし、自分の会社に当てはめて考えると、これがいろいろ考えさせられて奥深い。
 実は、先日、こんなことがあった。
 以前ブログに登場したunizouのフロアーにいる入社3年目の女性社員Oさん。
 最近Oさんのミスについて、unizouが注意した(叱った)ことがあった。
 当然、みんなの前で注意する(叱る)ようなことはしないので、個室に呼んで、諭すように注意した(叱った)のだが、その後のOさんの態度が笑ってしまう(?)。
 これまで、毎朝、Oさんは、unizouの前を通って挨拶をし、帰りも同じように挨拶をして帰っていたのだが、そのとき以降、それがなくなった。
 そして、unizouを避けるような態度をとるといった行動に出たのである。
 いやぁ、ほんとに久しぶりにこんな大人気ない人に会ったという感じである。
 実は、Oさんは、この1年彼女の指導を担当したMさんにも、そういう態度を取ってきた。
 知人に話したら、「若い(幼い)んだね」と一言。
 そういう社員を採用する人事部は何を見ているのかと、びっくりするほどである。
 そして、企業経営理論の「組織論」で学習するアージリスの未成熟=成熟理論にいうことは、こういうことかと思う。
 アージリスはマズローの欲求階層説を基礎にして、人間は成熟の程度に応じて、それぞれ成長の方向に向かってみずからの欲求を表明し、労働の過程で自己実現を目指す「自己実現人」であると仮定して、組織の中の人間行動を説明しようとし、人間が年を経て成熟する過程に7つの人格的な変化があると考えたという。(株式会社イニシア・コンサルティングHP 1. 組織論第7章「動機づけ理論」より抜粋
http://www.initiaconsulting.co.jp/archives/management/1_07.html
 受動的→能動的、依存→独立、単純な行動→多様な行動、浅い興味→深い興味、短期的な展望→長期的な展望、従属的→対等・優越、自己認識の欠如→自己統制というように未成熟から成熟へと変化するといったように。
 それをOさんに当てはめてみると、Oさんは、まさに未成熟な状況なのだろうと思う。
 であれば、これから先、Oさんは労働の過程で自己実現を目指す「自己実現人」として、7つの変化を起こしていくはずである。
 アージリスの組織構成員の自己実現欲求を満たし組織の健全化を図る具体的方法として、職務拡大(ジョブエンラージメント)と、感受性訓練*1が必要であると説いている。
 ところが、unizouはどうもそういったことでは、Oさんが成熟することは難しいのではないかと危惧している。
 というのは、Oさんの資質が、自分にとって心地よい人しか受け入れようとしないといったように見えるからである。
 こういった未成熟な状態の人が成長するに当たって、素直ということが一番大事なことだと考えている。
 素直に物事を考える、素直に人の話に耳を傾けるといった具合にである。
 そういう態度で毎日を送らないと、自ら成長する機会を失うことになるといったように・・・。
 しかし、当然、未成熟な彼女には、そんな忠告を受け入れる素直さは持ち合わせておらず、手を拱いているだけの「困ったものだ」と思う毎日が続いている。

*1:感受性訓練とは、集団の中で互いにありのままの自分を出すことで、自他の感情を客観的に理解し、状況に適合した行動がとれるようになることを目的とする訓練。