排出権取引

 主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)が閉幕した。
 今回のサミットでの中心的議題となったのが、地球温暖化対策。
 その中でも触れられていた「排出権取引」。
 テレビ東京WBSワールドビジネスサテライト)でも、サミット特集として、CO2の排出権取引をめぐる欧州の新ビジネス最前線が報じられていた。
 排出権取引とは、京都議定書で認められた、自国で二酸化炭素やメタンを減らすことがどうしても難しい場合、他国に行って削減に協力すれば、その分はその国が減らしたことにできることに基づいて生まれたビジネス。
 例えば海外の国々に行って風力発電の開発を援助したり、優れたゴミ処理技術を駆使してメタンガスの発生を抑えたりして、日本国内では減らせない分を海外で減らし、減らして権利が「排出権」として取引の対象となる。
 実際、大手商社丸紅で実施された取組みは、カンボジアで排出される二酸化炭素を減らそうとするもの、400万本ものゴムの木の植林し、その大量に植えられたゴムの木が、大量の二酸化炭素を吸収して酸素に変える。こうして減らした二酸化炭素の量を排出権にしていく。
 現在、二酸化炭素の額は1トンで500円が相場と言われていることから、丸紅の場合、300万トンの二酸化炭素を減らすことになるので、およそ15億円もの排出権が生まれる。 
 そして、この排出権を、二酸化炭素を減らさなければならない日本の企業に売るのだ。 
 ちなみに、メタンガスの相場は1トンおよそ600円。フロンガスは1トンおよそ700円。 
 環境問題から生まれた新たな財産権「排出権」による巨額ビジネスが動いている。