税金と中小企業診断士

 「中小企業診断士の仕事は各スペシャリストへの橋渡しである」というように、資格の学校T○Cへ通った当初、講師が話されていたのを聞いたことがある。
 法律問題であれば弁護士へ、税金に関するものであれば税理士へ、そして、社会保険に関する問題であれば、社会保険労務士へといった具合である。
 つまり、中小企業診断士はトータルコーディネーターといった趣きであり、さまざまな問題を各スペシャリストの手を借りてクリアーし、トータルとして企業価値を高めていくといった仕事といった意味であろうか。
 ところが、その中でも税金に関する問題が、企業のさまざまな問題に根幹に関わっていて、中小企業診断士にとって重要なコアコンピタンスになるのではないかと思うようになっている。
 というのは、実は最近知人から、税金に関する二つの話を聞いた。
 一つは、次のような話。
 知人の配偶者が、2か月に1度開催される自治会の女性部の懇親会でいつも一緒になる夫が脱サラして起業した妻について、次のようなことを話していたという。
 その妻は、2か月に一度行われる懇親会の領収書を、必ず自分の夫が経営する会社の名前で切ってもらっていて、その妻はいつもみんなに、次のように話しているという。
 「最初、起業したときは、そんなことはやってはいけないと思っていたのよ。でも、周りから、なんでやらないの?みんなやってるわよ?それからしばらくして、みんなと同じようにやり始めたら、今では、税金なんて絶対払いたくないって感じなのよ。」
 そして、もう一つ。
 資金繰りに困ったA社。取引先への支払いや給料を払わないわけにいかないので、源泉所得税と消費税を後回しにすることにしたという。
 そして、取引先へ支払いを済まし、給料も無事払って、ほっとしていたという。
 もともと資金繰りに問題があったA社は、今後の経営について、中小企業診断士コンサルティングを依頼していたところだったのだが、今回の件は、せっかく頼んでいる中小企業診断士に相談もせずに、勝手に社長と経理担当者で決めてしまったことだった。税金は何回かに分けて納税すれば、きっと許してもらえるだろうと・・・。
 しかし、税務署へ呼びだされて、そんなに簡単に分割納付を認めるような話ではないと言われ、頼んでいた中小企業診断士に相談したということだった。
 相談された中小企業診断士は、かなり社長と経理担当者を叱った(?、注意した?)らしい。
 「税金を滞納したら、信用を無くしますよ。それに、借入れは、もう絶対にできない。借入れによる方法がないか、納税の期限の前に、早めにそれを模索すべきなんですよ。金融機関や公的機関などからの借入れであれば、しっかり返せば信用になりますからね。」
 もし、クライアントの企業が1番目の話のようなことをしていたら、中小企業診断士の(になる)あなたなら、どうするか?
 unizouなら、クライアントの企業には絶対にそんな不正な会計処理は止めさせる。なぜなら、税金を払う、払わないということでなく、一体どれだけの努力でどれだけの利益が出ているか見えなくなるから。企業の本当の姿がわからなくなるから。
 そして、あとの話は、中小企業診断士が言ったことと同じことを言う。
 税金は、企業の実態を表すもの。そこが崩れているときは、企業として問題を抱えているということ。よく世間で言われているような「税金のために働いているようなもの」といったことではなく、税金は利益の ほんの一部なのだから、納税ができないようなら、必ずほかに問題がある。
 その問題をクリアーすれば、必然的に税金も払えるようになる。
 威風堂々、正々堂々行きていくのが、企業としての一番のあり方のように感じるのだが、皆さんはいかがだろうか。