言葉遣い

 白鵬の全勝優勝で幕を閉じた大相撲5月場所。先場所に続き、好成績で優勝をおさめた白鵬は、横綱審議会の満場一致で横綱昇進が決定した。
 おとといそのニュースが、その知らせを受けた白鵬の口上の言葉とともに報じられていた。
 「横綱の地位を汚さぬよう、精神一到を貫き、相撲道に精進いたします。」
 「精神一手到」とは朱子の教えに基づく言葉で、「精神を集中して事に当たれば、どんなむずかしいことでも成し遂げられないことはない」という意味だそうだ。
 久しぶりの横綱誕生を歓迎するムードに包まれた1日だったが、それもそのはず、これまで朝青龍の一人横綱時代が21場所にものぼり、新横綱は、なんと4年4カ月ぶりの誕生なのだから。
 次の名古屋場所から順調に行けば、千秋楽の結びの一番が東西横綱対決になるかと思うと今から楽しみだ。
 このお祝いニュースをいくつかのテレビニュースで聞いていて、とても気になったのが、アナウンサーの言葉遣い。
 白鵬関が生出演していたその番組で、横綱を紹介するときの一言にまずunizouのケチがついた。
 「お忙しい中お越しいただきました、新横綱白鵬です。」
 そう一見敬意を払っているかのようだが、横綱を呼び捨てしていた女性アナウンサー。
 これって、役職+名前って構成だから、本人を目の前に、「内閣総理大臣安倍晋三です。」、「代表取締役社長山田太郎です。」と言っているのと同じこと。びっくりした。
 そして、コーナーも終りにさしかかり、締めの一言を男性アナウンサーが言ってまたびっくり。
 「大横綱目指して頑張ってください。」を「おおよこづな目指して」と発音していたのだ。
 他のスポーツと比べ、相撲に精進する外国人力士は本当に日本語が上手い。衣食住を兄弟子とともに部屋で過ごし、親方と弟子という厳しい世界で鍛えられてきた様子がうかがえる。
 本当に精進してほしいのは、報じる方だと感じた今日のニュースであった。