NEC社員の不正還流5億円、飲食費接待費に

 29日の東京新聞夕刊に、「NEC」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、2006年3月期までの7年間に約22億円の所得隠しを指摘されたこと、この件に関しては幹部社員ら10人が架空取引を繰り返し、約5億円の裏金を捻出していたことが判明したという報道があった。そして、この事実を、同日NECも発表している。
 同社は、幹部社員らを業務上横領容疑などで刑事告訴することも検討しているという。
 申告漏れは単純な経理ミスを含め総額約39億6000円に上ったが、多額の繰越欠損金(過去の赤字)を抱えており、追徴税は生じないとのことだった。
 監査の実態はどうなっていたのだろうか?
 こういうことが平然と行われているのであれば、今回の件は氷山の一角ではないのか?
 いろいろ疑問が湧くが、本当に一体どうなっているのだろう?
 企業は、利益がどのような形で捻出されているか、知らなければいけない。
 診断士試験の運営管理で習うように、生産管理、店舗販売管理をし、そして、財務・会計で習う企業会計で、その企業の本質をみていくのである。
 売上に対しどれだけの経費がかかっているか?
 利益を出すにはどうしたらいいか?
 架空発注など、経費を水増ししていては、会計面で企業の経営状況を判断することはできないだろう。
 自分の姿を直視せずに、ただ闇雲に走っているだけのことである。
 unizouは、人間は、全てではないが、油断すると権力やお金に関しては、悪い行いをするというのが持論である。
 これは、公務員であろうと、民間人であろうと、変わらない。
 今回の件でもそうだが、とかく、官庁のシステムが悪い、公務員が悪いと言われがちだが、そうではなくて、抜け道があるようなシステムや監視が行き届かない体制では、公務員であろうが、民間人であろうが、下手に権力やお金を握れば悪いことを行う可能性が高くなるのだ。
 だから、どんな組織でも、悪いことを起こす不幸な人間を出さないために、悪いことができないようなシステムやしっかりした監視体制を作り上げるべきだと思っている。
 NECのような民間企業は、自らそういった体制を作り上げるべきなのに、東京国税局の税務調査により、今回の件がわかったことは、お粗末なこととしか言いようがない。
 ここのところ、所得隠しについて、個人でも林家正蔵さん、中村勘三郎さん、報道関係でも、読売新聞、朝日新聞などが、立て続けに国税当局から指摘を受けているという。
有名人や大企業がこんな体たらくでは、庶民や中小企業が道を誤りかねず、国のあり方が歪んでいくことになる。
 誰も真面目に生きず、好き勝手に生き、一部の人だけが利益を貪り、そして、夢のない国になる。正直者がばかを見る社会になる。
 診断士という立場でできることといえば(なっていないのにおこがましいが)、企業経営理論で習う社会的責任(社会の中で企業市民として活動し、常に社会の利害関係者と調和を図りながら、正常な経済活動のみならず社会的に影響を及ぼす企業活動全体に対して責任を果たすこと)を全うしていくよう中小企業を導いていくことだろうか。
 そして、この国に生きる限り、生き甲斐のある、夢のある国であるようにする。
 NECには、早急に、社内の体制を見直して、正統な企業に戻ってほしいと願うばかりである。