建築基準法と都市計画法

 昨年の初めに買って、飛ばし読みをして付箋をつけて書棚に入れていた「亡国マンション」(平松朝彦著:kobunsha paperbacks刊)。
 しばらくぶりに、付箋のか所を読んでみた。

 都市とはいったいなんだろうか?都市とはたくさんの人々が集まり、住むところである。そのために計画的に意図的につくられたものだけが都市と名乗る資格がある
 その意味では、710年、元明天皇がつくった平城京(4.3km.×4.8km.)が元になっている奈良は都市だ。これは中国の都市、長安にならったものである。さらに794年、桓武天皇平安京(4.5km.×5.3km.)をつくり京都ができた。つまり奈良も京都も、立派な都市なのである。逆に、無計画に拡散しただけの東京は都市ではない

 正統の資本主義から見れば、地価は低いほど、家賃が安く、業務の生産性が高いことに繋がり、かつ損益分岐点は低くなるから、当然安いほうがいい。それは国家レベルで考えても同様で、地価が高い国は事業の生産性は低くなり、地価の低い国に競争力で劣り、いつか負けてしまうことは明らだ。庶民レベルで考えたって。高家賃だけでなく高地価に起因する生活物価の高さ、公共サービス費の高さで暮らしにくくなるのだから、誰にとっても高地価のメリットなどはない。土地を資産にして抱え込んでは、経済がうまく回るはずがない。

 都市の土地は本当に使いたい人が使わなければならない。だから、利用したい人が人に所有者が代わるか、土地の借地化などの流動化が必要である。それなのに、現実には土地を有効に使わない人が山のようにたくさんおり、土地を所有している。駅前で昔はちょっと事業をしていたものの最近は高齢化に伴い、今はシャッターを閉めてひっそりと何億円もする土地で年金だけで生活をしている人たちもたくさんいる。そんなしもた屋に住んでいる人たちは社会に損害を当てていることに気づくべきだ。

 診断士の資格を取るためには、「都市計画法」は、、「中心市街地活性化法」「大規模小売店舗立地法」と一緒にまちづくり三法として必ず覚えなければいけないものである。そして、建築基準法も同様に覚えなければいけないもので、資格習得後も診断士として街づくりに関わるうえで重要なものだといえる。
 今までもブログで書いたが、unizouには、日本の土地・住宅政策の誤りが、この国の社会問題の数々を惹き起こしているのではないかと・・・。
 だから、平松氏の「亡国マンション」を読む以前、診断士の資格を目指す前から問題に思い、都市計画法建築基準法については、興味があって、自分なりの解決策を考えていた。
 建築基準法には、用途地域における用途規制が定められている。
 しかし、この用途規制があるにもかかわらず、建築許可を受けたマンションの建築の際に、近隣住民の反対運動がある光景をしばしば見かける。
 こういったことの原因は、「既に居住している近隣住民側のエゴ?」、「業者の違法建築?」、それとも「用途地域の設定の問題?」なのだろうか。
 いつも、そんな思いを抱きながら、近隣住民の家に張られた「マンション建築反対!!!」、「日照権を奪うな!!!」といった横断幕を見ている。
 人間が、日照を求め、回りの建物に圧迫感を感じたくないと思うのは当然のことだから、「既に居住している近隣住民側のエゴ」のせいとは言い難いだろう。
 また、これだけ世の中がうるさくなってきたのだから、「業者の違法建築?」といったことをするような業者は、まずあり得ないだろう。
 となると、騒動の原因は、「用途地域の設定の問題?」になってくる。
 例えば、商業地域内に住居が混在していたり、住居地域に農地や工場があったりと、既得権の問題を超えて、これから整理していく必要があるのではないだろうか。
 それは、住居に十分な広さを使って、マイホームが安心と安寧の場所となっていくためにも大事なことなのであるし、商業地域内に住居が混在していることも、中心市街地の活性化にはネックになっているからである。
 そこで、容積率建蔽率を、土地の価格に比例させるのは、どうかと考えている。
 土地の価格の高いところは、それだけ、道路整備などを含め公共投資が行われ公益性の高い土地である。
 そのため、例えば40万円/?を容積率100%にして、4000万円なら容積率10000%といった具合とすると、駅などに近い場所から、必然的に高い建物が始まり、住宅地になると低い建物になるのではないだろうか。
 もちろん、広い土地を持っていれば、何階建てかの建物はできるが、周りの住宅に影響を及ぼすことはなくなる。
 では、今も残る混在する住宅、農地、工場の移転をどうするか?
 それには、荒療治になるが、固定資産税を上げて、他の地域への移転を促すしかないと思う。ただし、一定期間を猶予し、その期間内は、譲渡所得にかかる所得税を大幅に減免するなどの方策を取る。
 また、都市の緑地や駐車用のスペースを確保するため、行政は積極的に土地を取得する。
 こういったことは、中心市街地の活性化に関する法律では、なかなか取り除けない問題に関する荒っぽい方策であるが、いずれ誰かが手をつけなければいけないと思いながら、誰も手をつけられずにいることなのだと思っている。