給食費・保育料滞納

 最近、何かと話題になる給食費・保育料滞納。
 マスコミ報道のせいで、世間が均一化して、どこの家庭でも同じように何でもできるように思わせているのだから、給食費や保育料を払わずに、収入のほとんどを遊興費などに回す人がいても不思議ではないことだと思う。
 また、最近では、銀行がついしばらく前までサラ金がやっていた小口のフリーローンを商品化してやり始めるようになったことも、安易にお金が借りられる風潮を助長していて、問題は借りる側にあるのではなく、貸す側にもあるような気がしてならない。
 そして、そういった融資やカード利用に歯止めが利かない状況の中、「入るをはかって出るを制す」のが生活の基本であるにもかかわらず、そんなことお構いなしに欲求のまま他人と同じように消費する生活スタイルをしている家庭が多くなってきているのだと思う。
 つい先日、そんな話題に近い話を友人の女性から聞いた。
 友人の女性が、知り合いの夫婦(子どもがいない)の奥さんから、多重債務の相談を受けたという。
 旦那さんは、設計士の資格を持って、月収も相当あるという。
 二人暮らしなのだから、生活費もそんなに必要ないだろうし、食べるには困らないはずの収入である。
 しかし、奥さんが病気をして少し情緒不安定になったせいで、カードを利用したショッピングを続け、やりくりが難しい状況になったというのである。
 そして、旦那さんにはこの件について何も話していないという。
 借金嫌いの旦那さんに話したら、「その後どうなるか心配」ということらしい。
 借金の額は500万円くらいなので、長期のローンに一本化してもらえれば、破産まで行かずに何とかやり直しができる状況である。しかし、ネックは、旦那さんがそのことを知らず、働いていない奥さんには、内緒で何とかすることが難しいということ。
 早く旦那さんに知ってもらって対処すれば、どうってことない話なのに・・・である。
 こういった話を聞くと、最終的にお金という問題になるだけで、問題の根っこは、奥さんが病気の時に不安を感じ、精神的に参っていたことにあると思う。
 結局、世の中の全てのことが、結果としてお金の話になることが多いが、実際の根っこは、家族のあり方だったり、夫婦のあり方だったりするということだと思う。
 給食費や保育料の滞納も同様で、市町村の職員が徴収すればそれで終わりという問題ではなく、家族のあり方や夫婦のあり方の問題を解決する必要があるように思う。
中小企業診断士の仕事に置き換えて話をすると、企業や個人事業の経営の行き詰まりなどは、企業としてのあり方だけでなく、それに関わる人間の「人間としての根源的な部分」に起因することが多いのではないかと・・・。
 しかし、診断士の仕事としては、そこまで行くときりがない話と思うのか、それとも、そこまで解決しないと、一時は良くなっても、また同じような経営になっていくので、全部を解決しなければいけないのかといったことは、結構重要な選択のように思う。
 いずれにしろ、企業であれ、個人事業であれ、人間が基礎となっているのだから、人間の苦悩が、さまざまな問題を惹き起こしているのは事実だと思う。
 診断士の仕事は、知識だけでない、そういったことにも対応できる能力(叡智)が必要なのではいかと思っている。